HAL9000 の製作 その5(レンズ部)

HAL 製作記録の5回目です。
前回は、HAL9000 の本体を木材で試作しました。
(前回の内容については、以下のリンクをご覧ください。)

今回は、HAL の出来栄えを左右するキーパーツ、眼の部分を構成するレンズ部を作ります。

HAL の眼のおさらい

印象的な HAL の赤く光る眼はニコン製の魚眼レンズ(NIKKOR fish-eye 1:8 f=8mm)が使われました。
細かな内容は「MPS(Movie Prop Sites)」が運営する「RPF」というサイトで「AP333」さんが投稿している「HAL 9000 Panel」という内容をご覧ください。

レンズ枠のサイズ

何名かの方が、このニコン製のレンズを実測されていて、ほとんどの部分の数値を公開されています。
それらの測定結果を mm に換算して、一部を除いて小数点以下を四捨五入しました。

いつもの Fusion で 3D モデルを作りました。
基本の形状は、断面を作図して360度回転させるだけなので簡単に出来ましたが、回転部分の滑り止めはチョッと大変でした。
(試作品は滑り止めの切り欠きを200個で設計しましたが、実際には AP333 さんが実際のレンズを数えたところ319個だったようです。)

レンズのサイズ

続いてレンズのサイズです。
この魚眼レンズ内には(多分)9枚のレンズが内蔵されていますが、撮影時には前方の数枚のレンズ以外は取り外していたようです。
そこで、今回は前方から3枚のレンズを再現します。
なお、実際のレンズのサイズは数値で出てくる資料を見つけられませんでした。
そこで、下図の赤字は図面からの推定値です。

レンズは自宅の旧型の積層型 3D プリンタでは作れないので、この時点では 3D モデルは作っていません。
ただし、上で作ったレンズ枠だけでは内部が見えてしまうので、「レンズ押さえ」的な内部部品を作りました。

レンズ収納リング

映画で使用された実際の HAL9000 やその設計図は残っていません。
映画の公開が1968年と60年近く前であることもありますが、キューブリック監督が映画の撮影が終わると全ての小道具を跡形もなく処分させたことが原因と言われています。

そのため、HAL に使われたレンズの型番は有志の画像解析で判明しましたが、その他の部分の形状は分かりません。
レンズを固定する収納リングの写っている部分は分析できても、肝心のレンズ固定方法は諸説あります。
・レンズを単純に押し込んでいる。
・ニコン製のレンズマウントを内蔵して、しっかりと固定している。
・その他の固定具を独自に作って使用している。

今回は(本物か分かりませんが)オークションに出品された「映画で使われた HAL9000」と言われている物の固定方法と同じ、差し込み式にします。

この数値で 3D モデルを作ります。
これも断面図を描いて、回転させたら簡単に作れました。

レンズを作る

レンズ以外の部品の 3D モデルは出来たので、レンズ部分を作ってみます。
作る方法は色々と考えられますが、次の順番でやってみます。
1 最初に思い付いたアイスパフェのフタ部分を加工
2 紫外線硬化レジンで作る
3 プラ板をバキュームフォーム
4 百均の資材を加工
4 市販のレンズを組み込む

アイスパフェのフタ

アイスパフェのフタは薄いプラ板を熱でドーム型に加工したものなので、カッターで簡単に加工できます。
加工は簡単でしたが、厚みがなく材質のために白くて安っぽく見えてしまいます。
とりあえず、この材料は保留にします。
(右側はレジンを追加して色合いを改善したもの。)

レジンで作る

百均で手に入る紫外線硬化式の透明なレジン液を使います。

しかし、頑張っても内部に気泡が入ります。
温めると改善しますが完全ではなく、レンズとしては使えないです。
(左側の5個がレジン製で耐水ペーパとクレンザーで磨き後、右側は比較用のダイソーのカプセルケース)

これが良い出来だったらレンズ用資材の内側にレジンを流し込んで、魚眼レンズの裏側の凹みを再現できると思ったのに残念です。

バキュームフォーム

以前製作した自作のバキュームフォームで作ってみます。
(バキュームフォームの製作記事は、下のリンクをご覧ください。)

吸引して作る型の素材は、3D プリンタで作ったものをピカピカになるまでヤスリがけをしたものです。
薄いプラ板をホットプレートで温めて、自作バキュームフォームにつないだ掃除機で吸います。
こんな感じになりました。

写真では分かりませんが、表面がデコボコです。
この後、型の表面をパテ埋めして、さらに磨き上げて作り直しましたが、表面は滑らかになりませんでした。
これじゃレンズとしては使えませんね。

百均の資材

ダイソーやセリアには、色々な材料として使える資材が売っています。
今回は HAL の眼に使えそうな物を探しにパトロールに出発です。

ドーム型クリアケース

セリアで見つけたドーム型クリアケースです。サイズは大と小を使いました。
これを HAL のレンズに合う大きさに切り出します。
写真は切り出し後のドームです。最上部には出っ張りがあるので、斜めに切り出しました。

レンズサイズに切り出した状態です。
左側は、比較用のバキュームフォーム用に作ったレンズの型です。
中央が小ドーム、右側が大ドームですが大ドームは薄すぎます。
「ドーム型クリアケース」は透明具合が良い感じなので、小ドーム用を採用します。

ディスプレイドーム

これもセリアで手に入ったディスプレイドームです。

今まで使った素材の中で、このドームが厚さも色合いも良い感じですが、残念なことに中央に出っ張りがあります。
残念ですが、これじゃ使えないですね。

キーホルダーキット

最後に、最近になって見つけたダイソーのキーホルダーキットです。
押し活で使う、キーホルダーを保存したり飾ったりするケースです。
他の資材を加工した後に見つけたので、加工後の写真はありません。
最初にこの商品を見つけていたら採用していたかもしれません。

内部レンズ用に小さいサイズも購入しました。
クラフト用のカプセルケースです。

HAL に組込み

レンズ枠に組み込む前に必要な部品を準備します。

光源用の LED

まず、光源となる LED です。
ちょうど良い色合いの白熱電球色の LED がなかったので、プラカラーで黄色に着色しました。
これに 3D プリンタで作ったカバーをかぶせて内蔵します。

他の色の LED に交換できるよう、黒色のマスキングテープで仮止めです。

赤色フィルタ

本物の HAL は、ニコン製のレンズに内蔵されている「R60」という赤色フィルタを使っています。
今回は試作品なので、ダイソーで購入した赤色の下敷きを切り抜いて作りました。
しかし、HAL 本体を切り抜いた時に使った、オルファの「ラチェット機能付きコンパスカッター(189B)」は中央に穴が開いてしまうので、色々な大きさの丸形が描ける定規を使って切り抜きました。

組み合わせ

それでは、これまで出来た部品を組み立てます。
HAL で使用されたレンズは魚眼レンズで中央が球形に凹んでいるので、それを再現するために小型のドーム(ダイソーの「クラフト用のカプセルケース」)を入れ込みました。
(HAL に使用されていたニコン製魚眼レンズのレンズ断面図)

最前面のレンズにはセリアの「ドーム型クリアケース小」を使いました。いい感じで雰囲気が出ています。

LED を点灯してみます。
中に入れた「ドーム型クリアケース小」の枠部分が目立っていますが、お手軽に作った割には高い再現度ではないでしょうか?

市販のレンズ

今までの加工でも良い感じでしたが、さらに再現度を高めるために本物のレンズを使ってみます。
ハードオフで HAL に使えそうで安価なレンズが無いか調べに行きます。
しかし、こればかりは出会いがないと無理ですね。

レンズコーナーに行ってみました。
見に行ったハードオフでは、魚眼レンズは販売していませんでした。
しかし、ジャンクコーナでちょうど良い感じのレンズが売っていました。
SONY の「TELE CONVERSION LENS X2 VCL-2046」です。(300円でした!)

これをカニ目レンチを使って分解します。
固定用のネジをしっかり閉めないと、ズレてレンズに傷がつくので注意が必要です。

分解して取り出したレンズを、製作したレンズ枠にはめ込みます。(少し 3D モデルのサイズを調整しました。)
さすがに本物のレンズです。透明度が違います。

このレンズの出っ張り具合や表面のコーティングは良い感じですが、魚眼レンズにある裏側の凹みがありません。
そこで、レンズ内部の凹みの再現には、セリアで購入したガラス製?の「クラフト用カボション」を使いました。

今回の本物のレンズ使ったものと、上で作ったプラ部品を加工したレンズ部との比較です。
出っ張り具合と見た目が全然違いますね。

HAL に組込み

HAL 本体に、出来上がったレンズを組み込みます。
透明度が高く良い感じです。

LED を点灯してみます。
うーん、それっぽく見えるのですが、本物の HAL のように魚眼レンズを使っていないので、あの不気味な感じが再現出ないですね。
どうしましょうか・・・

次回の予定

今回の HAL の眼の製作では、色々な材料を使って作ってみましたが、どの方法でも気に入ったものが出来ませんでした。
かと言って、本物の HAL に使っていた 1960年代のニコン製のレンズは高価で手に入れらないです。
時間をかけてハードオフで魚眼レンズを探す手もありますが、ちょうどよいサイズのレンズが見つかる保証はありません。

それじゃ、バック・トゥ・ザ・フューチャーのデロリアンみたいに 3D 製造メーカにオーダーしたら本物みたいなレンズが出来るかも?
次回は、Fusion でレンズの 3D モデルを設計して、3D 造形サービスの業者へ依頼してみます。

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