HAL 製作記録の6回目です。
前回は、HAL9000 の眼になるレンズ部分を試作しました。
(前回の内容については、以下のリンクをご覧ください。)
しかし、思ったような出来上がりにならなかったので、レンズ部の 3D データを出力サービスを行っている業者に依頼してみます。
そして、初めて注文した透明なレンズを本物のように滑らかな表面にしようとしたら問題が発生しました。
対策に1週間ほどかかったので、その内容も記事にします。
今回の記事で出てくる 3D モデルの出力は、PCBWay さんに提供を受けています。よろしければ、下のリンクのクリックにご協力ください。

3D データ出力業者
今回、製造メーカに注文する部品は、HAL 用の魚眼レンズのレプリカです。
せっかくなので一番こだわりたいのは本物のレンズのような透明度ですね。
透明な部品をオーダーするのは初めてなので、「3D造形サービス 透明」で検索してみました。
すると、note で NOMURA Yukinori 氏が「透明3Dプリントサービスを試してみた」という記事を書かれていました。
PCBWay の 3D プリントサービス
上の記事で、おススメだった PCBWay の 3D プリントサービスの利用方法です。
(事前にユーザー登録を済ませてあります。)
ホームページの右下の「3Dプリント」を押します。

3D モデルのオーダー画面です。
ここで、中央の「Drag and drop here …」に、オーダーする stl ファイルなどの 3D ファイルをドロップするか、マウスを押してパソコン内のフォルダを指定してアップロードします。

この後、PCBWay で 3D モデルを発注するために設定・入力が必要なのは3か所です。
まず、発注の個数は「Quantity」の横が「1」になっていることを確認します。

そして素材です。
今回は光を通す素材にしたいので「Resin」で「UTR-8100(transpearent)」を選びます。
(素材には半透明(translucent)が選べて透明より安価ですが、すりガラス状の出来上がりなので間違わないように。)

最後に、下の方の「Product Desc:」(製品の詳細)を選びます。
(ここの設定を忘れると、発注できずにエラーになります。)
今回は、「DIY Entertainment >> Plastic Ornament」(エンタメ製品、プラ製)を選びました。

ここまで設定すると、画面右側の「Submit Request」(オーダー送信)が、灰色から緑色になって選択出来るようになります。

緑色になった「Submit Request」を押すと、小窓が表示されます。
この画面は、オーダーした 3D モデルが武器などに該当しないという宣言です。
問題ないので「Agree」を押します。

これで、オーダー画面に進めます。
プリント基板のオーダーは即座に予定金額が出ますが、3D モデルの作成依頼の場合には業者によるデータ確認に日数がかかるようです。(それでも、通常は翌日に金額が分かります。)
HAL 用の注文品
今回は HAL に使われていた魚眼レンズ用の部品をオーダーします。
レンズ部分は透明な材料で発注しますが、レンズのボディ部分は安価な素材をを選びます。
今回の素材の設定の予定金額です。
透明部品3個と安価な素材4個で合計が $56.12 でした。

もう少し安くならないか試してみます。
透明部品と通常素材にまとめてみました。
透明部品でオーダーするレンズ部です。

安価な素材でオーダーする部品です。
白いレジン製でなので、後から塗装して仕上げます。

2つにまとめるとかなり安くなりました。
合計金額が $39.42 になりました。
(レンズだけなら $25.89 です。中古でジャンクの魚眼レンズを購入するより、かなり安価ですね。)

レンズのデータに問題発生
部品をまとめたら安価になったので、カードで支払いを済ませました。
「通常部品の完成までが1週間、透明部品は10日ぐらいか・・・」
特に急ぎではないので、ゆっくり待っていると担当者から連絡が来ました。
「オーダー品の品質に問題があるので確認してください。」
メールに添付されてきた画像を見ます。
下の画像は縮小しているので見づらいですが、拡大するとレンズ部品の表面に段差があります。

ここからが大変でした。
Fusion で高解像度の出力
3D モデルを作るのには、いつも Fusion というソフトを利用しています。
とても高機能で使いやすく、ノウハウに関する情報も沢山出回っている優秀な「個人利用なら無料で使える」ソフトです。
今までは、自宅の旧型の 3D プリンタで出力していたので、Fusion のエクスポート機能で STL 形式に変換して使っていました。
しかし、今回はその手順では解像度の高い部品は作れないようです。
色々と情報を集めてお勉強します。
3D モデルのファイル形式
Fusion でエクスポートに選べるのは下のとおりです。
そして、PCBWay で受け付けているファイル形式は、stl, obj, step, stp, 3mf です。
それぞれについて調べてみましょう。

stl 形式
stl は、3D プリントなどで広く使われるメッシュ形式です。
メッシュ形式とは、簡単に言うと元の図形を沢山の三角形で代替するものです。
今回のレンズなら、ポリゴン数を減らすと下図の様に凸凹になります。

obj 形式
obj は、簡単に言うと stl にテクスチャ(表面の模様)やカラー情報を持たせたものです。
つまり、解像度アップには影響しないですね。
step, stp 形式
PCBWay では別になっていますが、Fusion では同じ扱いの step, stp は、異なる3D CADソフト間で正確に形状や寸法データをやり取りするための国際標準(ISO 10303)で、数学的な曲面データを持つため、滑らかな曲面を保つそうです。
この形式に変換して PCBWay にアップロードしたら上の図のようにデコボコしたプレビューが表示されました。
「書いてある内容は良かったのに、これはダメかぁ・・・」
3mf 形式
3mf は、3D プリンタの出力用に開発された次世代のデータフォーマットで、従来のSTL形式が「形状のデータだけ」しか持たないのに対して、色・素材・テクスチャ・プリント設定などを1つの ZIP ファイルにまとめて保存できる形式だそうです。
これは良さそうなので、3mf 形式でアップロードしよう。
さらに調べると、Fusion では高解像度でエクスポートして出力する方法があるようです。
Fusion で高解像度で出力
Fusion で部品のデータを高解像度で出力するのは簡単です。
しかし、無料版では1つだけ欠点があります。
「高解像度の出力は単体のファイルのみ。」という制限です。(有料版は、まとめて出力が出来るのかな?)
出力方法は、出力したいボディを選んで、左欄にある部分を右クリックして「メッシュとして保存」を押します。

出てくる窓の「リファインメント設定」を押すと出てくる設定で「高」を選んで「OK」を押します。
ファイル形式は、今回は 3MF を選びました。

出力された3つのファイルを、担当者へメールで送りました。
技術部門で確認したところ良さそうだとの回答だったので、1つにまとめる方法を考えます。
Bambu Studio に3つのファイルを読み込んで1つに出来ました。
高解像度版の 3mf ファイルを1つにまとめたものを、PCBWay の担当者へメールします。
・・・ところが、技術部門で詳細を確認したところ、この高解像度版でも多少の凸凹があるようです。
拡大すると、ほんの少しですが何か線のようなものが見えました。

再度 step ファイルで挑戦
これまでに10回以上のメールのやり取りと1週間程度の日数が経過しています。
以前の私なら「この程度の段差なら、待たせている担当者に悪いので製造してもらおう。」と考えるところですが、最後に担当者へ直接 step ファイルを送ってみました。
実は以前、直接 PCBWay にアップした step ファイルを、スライサーソフトの Bambu Studio に読み込ませたところ、非常にきれいな外観になったのです。
(左側がアップロード後のプレビュー、右側が Bambu Studio)

すると、今までで一番解像度が高いと返事がきました。
この step 形式なら、3つにまとめても解像度には問題ないようです。
これまで長期間、サポートしてくれた PCBWay の担当者には感謝です。
(途中でメールサーバの設定が変更になり、担当からのメールが届かなくて1日経過しても製造を待っていてくれました。)
オーダーから到着まで
発注時に表示されていた製作予想日数は10日でしたが、実際には製造に4日間、製品の確認に1日間、梱包と発送準備に1日の合計6日で出来上がりました。
その後、出力が終わってから自宅に到着するまでの輸送日数は3日間でした。
透明な3D部品が10日以内に自宅に届くとは、想像の半分程度の日数でした。

国際宅配便では最安値の OCS を使いましたが、国内輸送は佐川急便でした。
梱包は下の写真の様な感じで、しっかりとした箱で届きました。

内部は厳重に梱包材で保護されていました。
パーツは1つづつ、プチプチで厳重に梱包がされていて、細かな心遣いを感じます。

内部の梱包状態です。
透明な部品と通常の白い材質の部品で分けられていました。

3D モデルの状態
プチプチを開けてみます。
まずは白い素材の部品です。
レンズの枠と内部の部品、そして本体に取り付けるリング部分です。

私が 3D データを分かっていなくて、発注に時間がかかった透明な部品です。
透明な 3D モデルをオーダーしたのは初めてなので、ドキドキしながら、汚れないように手袋をはめて開封します。
「おぉー!凄いぞ。」
透明なレジン製ですが、本物のガラスレンズのような重量感と透明度です。
私のような素人が作ったとは思えない出来栄えでした。
(これで、表面に本物のレンズのようなコーティングが出来れば完璧ですが、やり方が分かりません。)

借り組み立て
到着した 3D モデルを仮組みしてみました。
と言っても、レンズをレンズ枠にはめただけです。
まだ、レンズ枠が白いので違和感がありますが、見た目は本物の魚眼レンズのようです。

斜め横からの写真です。
表面レンズの裏側が魚眼レンズと同じ形状で凹んでいるので、本物の HAL を感じさせる出来栄えです。

次回の予定
オーダーした 3D モデルのレンズは大変良い感じでした。
次回は、このレンズ枠を塗装します。
そして、赤いフィルタを通して LED の黄色い光を後ろから当ててみます。
今から楽しみです。




コメント
note 記事へのコメント、リンクをありがとうございました。
こちらの記事は大変参考になりました。
質問ですが、最終的には STEP 形式のファイルを送ってきれいにできたとのことですが、記事の前半で STEP をアップロードしたらデコボコしたプレビューだったとあります。
最終的にうまくいったSTEP ファイルはどのように作成されたのでしょうか?
コメントありがとうございます。
解説が分かりづらくてスミマセン。
1 レンズ部の解像度を高めて滑らかにするために、色々な形式のファイルでアップしました。
2 その中で、step ファイルのプレビューはボコボコだったのでオーダーしませんでした。
3 その後、担当者と直接メールでやり取りした際に、アップしたのと同じ step ファイルが一番解像度が高く製作できることが分かりました。
つまり、PCBWay のオーダー画面に出てくるプレビューは参考程度で、ボコボコに見えた Fusion で普通にエクスポートした step ファイルが一番キレイに出来ました。