レーザーカッターの製作 その3 (分光器の製作)

レーザーカッターの製作を開始しましたが、思いのほか加工用のレーザーが強力だったので、安全が確認できてから前に進むことにします。(安全第一、ヘタレ?)
なお、レーザーカッターが完成した時点で、レーザーカッターとは内容が異なるので、分光器の製作は別記事にします。

製作開始

Web上には日本も含めて多数の「分光器」を作った方がいます。
今回は、頻繁に情報交換をしているPublic Labを参考に「やってみよう!」。

完成した分光器


ホームページ上では何種類かの「分光器」の製作例をオープンソースで公開していますが、簡単に作れそうで見栄えの良いSpectrometer 3.0を作ってみます。
(Public Labは、オープンソースで環境問題に取り組む非営利の研究団体です。(Wikipediaより。)(わたしは、その活動を支援する者ではありません。その活動に賛同する者ではありません。))

必要な部品

オリジナルの分光器でリストされた部品以外の物も含みます。
1 ノートパソコンのジャンクに内蔵されているカメラモジュール
  最近のノートパソコンは不明ですが、自宅のジャンク箱に回収しておいた旧型ノートのカメラユニットがありました。これのフィルターを除去して使用します。4線をパソコンにつなぐとUSBカメラとして認識します。
2 用済みのCD-RまたはDVR-R(プリズム用)
  グレーチングシート、分光シート、プリズムシートと検索すると市販品も手に入ります。
  DVDを加工すると「回折格子」として使用できます。
3 黒い画用紙他
  ダイソーの「厚紙両面黒色B4サイズ3枚入」と「カラーボード(300×450×5)mm黒」を使用します。カラーボードは現在は入手が難しいようです。
4 スリットの材料
  0.2mmのスリットを作成します。
5 板材(今回は使用しない。)
  オリジナルはケースの底板とカメラの固定材を木材で作りますが、今回は3番と6番の材料で作ります。
6 追加の3Dプリンタ出力部品
  Thingiverseからダウンロードした部品を使用します。
  Thingiverseは、DIY 3Dプリンターキット製造会社であるMakerBotが開設しているサイトで、ユーザーが主に無料で3Dプリンタなどのデータを公開しています。 

製作手順

カメラの加工

ジャンク箱で見つけたカメラは、JDEPC-0V04です。
端子は、1:+5V、2:USB-D+、3:USB-D-、5:GNDでUSBケーブルをつなぐと、パソコンからは汎用のカメラとして認識されて使用できました。
分光器として使用するためには、カメラの改造が必要です。カメラのレンズを外して、内部の可視光用フィルターを取り除きます。このままだと焦点が合わないのでフィルターと同じ厚みの透明アクリル板を切り出して入れ替えます。

カメラの規格表より。

回折格子の作製

記録に失敗したDVD-Rで作成しました。

DVD-Rなどの内部に使用されている色素は、有害である可能性が否定できません。また、加工中にケガをする可能性があるので、手袋を使用しましょう。

CDのトラックピッチは1.6umなので625本/mm、DVDは0.74umなので1,350本/mmの回折格子として使用できるそうです。Amazonで「分光シート」として販売している商品が1,000本/mmなので、今回はDVD-Rを使用しました。
まず、媒体を対応するハサミで4等分します。次に2枚におろします。最後に、外周部分を残して幅2cmに加工します。(図はオリジナルの組み立て手順書より)

事前に4等分した媒体をカッターなどを使って剥がします、記録面は使用しません。
一番きれいにはがれたところを、外周から2cm幅で切り取ります。長さは4cm程度に加工します。

ケースの加工

オリジナルのキットでは、ケース本体が紙製の、底板とカメラ固定部用に木製の部品が付属します。これを蓋は黒い厚紙で、本体を黒い厚さ5mmのカラーボードで作成します。
カメラ固定部は3Dプリンタで出力しました。

ケース作成のための各部品の配置図

ケースの図面は(https://github.com/publiclab/spectrometer3)に公開されています。

GitHubは、緑色の「<>Code」を押すとファイルをダウンロードできます。

「spec3-pdf.zip」内の「spec-box-top+angles.PDF」を印刷して、ダイソーの「厚紙両面黒色B4サイズ3枚入」に転写して切り抜きます。同様に、「spec-box-bottom.PDF」のスリット固定部品を切り抜きます。

ケース上部の図面、実際には、外箱単体で組み立てるので、斜め部分を直角に切り取ります。
スリット固定部品
カラーボードの切り抜き図 底板の横幅は 5cm-(ボードの厚み×2) です。
切り出した板を接着剤で組み立てる。

スリットの作製

オリジナルの分光器キットには、幅0.2mmのスリットが付属します。いろいろな方が作成した分光器では、カミソリやエッチング、プラスチック板などでスリットを作成しています。
家にあるもので簡単に出来ないか色々考えました。
「あ、ラベルプリンタがあるな。」
自宅のテプラには外字機能があります。48ドットの外字の1ドットだけ空白にして、残りを黒く塗りつぶせばスリットが出来ますね。
テプラの「黒インク、背景が透明」24mmテープに外字を並べて印刷。印字の高さが約12mmなので、12mm/48dot=0.25mmのスリットが出来ているはず。
出来たスリットを、厚紙から切り取ったスリット固定部品に貼り付けます。

テプラの外字作成画面。ポチポチと真っ黒な背景の真ん中に1ドット白い外字を作ります。
完成したテプラで作ったスリット
予想どおり約0.2mmのスリットが出来ました。

カメラ固定部品

カメラ固定部品は、「programmer1200」氏の「Spectrometer 3.0 Modifications」にある「prism.cameramount.stl」を使用しました。これで、紙で部品を作ったり、木材の細かな角度調整は不要です。
手前にDVD-Rから作った回折格子を、後部に改造したカメラモジュールを固定します。(回折格子の上部には、光の回り込み防止の黒い紙を追加しました。)

カメラ固定部品の3Dイメージ
3Dプリンタの部品に、回折格子とカメラを取り付ける。

組み立て

出来上がった部品をすべて組み立てれば完成です。
スリットからカメラの位置が200mmになるように、カメラ固定部品を両面テープで固定します。(オリジナルは調整が出来るようにマジックテープを使用)

内箱の内部
外箱にラベルを張って完成です。

動作確認

分光器のソフトウエアにはいろいろなものがありますが、「theremino」の「Automation」のページの半ばにある「Theremino Spectrometer」を動作確認に使いました。現在の最新版は3.1です。

Theremino Spectrometerの画面

簡単な工作なので、パソコンに分光器をつなぐと直ぐに認識されました。ソフトを立ち上げてLED照明に向けるとスペクトルが表示されます。左右が反転していたので「Flip」ボタンを押した以外は、まだ、キャリブレーションなどはしていません。LEDライトなので青が強いはずですが、赤方向にズレているようです。

次回は、昼間に太陽光を使用してキャリブレーションと保護ゴーグルの試験を行います。

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