GPSDOの基板の組み立ては終了して、動作確認までは出来ました。
10MHz GPSDO の組み立ての詳細(失敗事例も紹介しています。)は、以下を見てください。
GPS衛星の原子時計
ところで、話がそれますが、GPS衛星(正しくは「ナブスター(NAVSTAR)」ですか。)には、ルビジウムかセシウムを使用した原子時計がそれぞれ4台搭載されているそうですね。(図解雑学 GPSのしくみ, P86, 株式会社ユニゾン著, ナツメ社)
搭載されているルビジウムの安定度は、10-9~10-11、セシウムになると10-12~10-13らしいので、セシウムを積んだ衛星を利用したいところです。とは言っても、上空2万キロを時速1万4千キロ以上の速度で移動しているので、そのままの安定度で利用できるわけではありませんが。(GPS測量技術, 佐田達典著, オーム社)
軍用機材なので、例えばGPS A型はルビジウムでGPS B型はセシウム搭載などと規格が決まっていて、部品やマニュアルも型式ごと定まっているはずです。
地上の整備担当の空軍軍曹2人が「そろそろ、GPS B型3号機のセシウム量が気になるんだけど。」
「チャーリー(3号機)は、この春で卒業だから、それまでは大丈夫だろ。それより週末の予定は?」なんて話をしているはずです。
それとも、搭載している4台のうち1台がセシウムで3台がルビジウムとか?
色々なネットの情報や市販図書を探しましたが、探した限りでは「搭載原子時計はルビジウムかセシウムが」と記載されている資料ばかりで、その根拠が見つかりません。
トランジスタ技術 2016年2月号の53ページには、「GPS衛星開発の初期の段階では、セシウム型とルビジウム型の原子時計が搭載されていました。 -中略- 最近のGPS衛星では、ルビジウム原子時計だけが搭載されるようになってきています。」との記載がありますが、引用文献が記載されていませんでした。
今のところ、現在捕捉している衛星の原子時計が何を使っているかを知る方法は分かりません。(ちなみに「みちびき」はルビジウム搭載原子時計とVC-OCXOを組み合わせて使用しています。(トランジスタ技術 2016年2月号 P43, CQ出版社))
(追記 「GPS衛星にはセシウムおよびルビジウム原子時計が搭載されており」との記載が見つかりました。(GPSのための実用プログラミング P20, 坂井丈秦著, 東京電機大学出版局)1台の衛星に両方搭載されているようですが、何個搭載されているかは現在のところ分かりません。)
米国の「海軍天文台」にある地上設置型の高安定原子時計から定期的に校正された時間基準が、自宅で椅子に座ったままで手に入るのですから、現状でなんの文句もありませんが、周波数源は気になるので続いて調査します。
ケースの製作
話はGPSDOの組み立てに戻ります。
出来上がったGPSDOは、まだ基板だけでOCXOに外気が直接あたっている状態なので、周波数が安定しません。
そこで、いつも一番時間のかかるケースの加工を始めました。
計測器ケースの流用
今回は、ジャンク計測器(HP 3465A)のケースを使用します。
中身は他に流用してしまったので、ケースだけが残っていました。
この計測器のサイズは、GPSDO基板と電源、そして今後、動作確認が出来れば交換予定のOCXO(と電源)を収納するのにちょうどよい大きさです。
内部の不要な部品類を除去して、GPSDO基板などの配置を考えます。
正面パネルの作成
正面パネルの加工をして不、必要な穴は3Dプリンタで作ったプラ片を接着しました。
パテ埋めして地道にヤスリ掛けを行ってきれいにします。
内部の部品
内部の写真を撮り忘れましたが、電源の固定用ケースと後部カバーを3Dプリンタで作成し、基板と電源を固定する板を加工して、ケースに入れます。
ケースの完成
前面パネルに下地を塗って塗装、文字入れ(いつものテプラ、今回は透明テープに白文字です。)で完成です。
長時間運用中は、バックライトをOFFにできるスイッチを付けたので、動作確認用の緑のLEDを付けました。(HP製ではありませんが、バッチ付きです。)
Logの取得と分析
ケースに入れたので、この状態でログを取ってみます。(Baud Rateは115,200 bps)
まずは立ち上がりです。3分ほどで10Mhzに近い状態になっています。
その後、3日ほどおいてから安定の具合を見てみました。
下のグラフは、部屋の暖房を切った状態の室温(平均して10℃ほど)で計測した、半日分のデータですが周波数が安定しませんね。
やはり、このVCXOでは安定度に問題が有るようです。
次回は、安定度が高いと評判のOCXOに入れ替えた結果を確認したいですが、少し回路を変更しなければならないので先の話になりそうです。
コメント