HAL9000 の製作

急な製作記事ですが、あれを作ります。

材料は「分光器」を製作した際に余った黒いカラーボード
使っていないフィルム式一眼レフカメラの交換レンズ(処分したビデオカメラ用もあります。)
そして部品を片付けていた時に出てきた赤いLED

「黒いボードとレンズに赤いライト…」を見ていてひらめきました。「これは、あれを作らねば!」と

「HAL9000 の製作、やってみよう!

(カラーボードを使った「分光器」の製作記事は以下のリンクをご覧ください。)

HAL9000 とは

ご存じの方は多いと思いますが、HAL9000 は MGM(メトロ・ゴールドウィン・メイヤー・スタジオ)社が1968年に製作した映画「2001年宇宙の旅」に出てくるコンピュータです。

アポロ8号が人間の眼で月面の裏側を初めて見る前に、月だけではなく地球や木星などの天体を CG も何もない時代に作り出した作品として有名ですね。

私は、小学生の頃に初めてこの映画を見てから虜になり、レーザーディスク版、DVD 版、ブルーレイ版と買い足しています。(御覧になったことがない方は、是非!)

HAL9000 について

サイズ

まずは情報収集です。
サイズは色々な説があるので、妥当なところをまとめました。
(でも、板の厚さは 3 mm のようですね。余った黒いボードは 5 mm 厚ですが、気にせず進めます。)

概略サイズ

HALの眼

特徴的な赤く光る HAL9000 の眼は、英語版の Wikipedia では「Fairchild-Curtis wide-angle lens」であると書かれていますが、アップの画像を見ると違うようです。
(撮影では使用したようですが、このレンズの直径は 82 mm より大きいようです。)

他の HP では「Nikon Fisheye-Nikkor 8mm f/2.8」とありましたが、このレンズは 1970 年製ですから時代が合いません。(映画公開が1968年です。)

有名な HAL9000 の展示物には「Fisheye-Nikkor 8mm f/5.6」が使われていますが、これはレプリカなので映画で使われた本物ではないそうです。(他にも Nikon 6mm f2.8、Nikon 7.5mm f5.6 という説があります。)

私が調べた限りで一番確かな情報では、1962 年製の「Nikon Fisheye-NIKKOR 8mm f/8」が使われたようです。
劇中でアンテナを修理するシーンで、唯一、HAL9000 が真横から移るシーンがありますが、アメリカの有志の方がその画像に映っていたレンズ横の文字を「Fish-eye-NIKKOR 1:8 f:8mm」と解析しました。(すごい執念です。)

他のシーンの HAL9000 が、違うレンズを使っていた可能性はありますが、HAL 本体を各シーン用にセットで組んで、レンズは同じものを流用したと考えるのが妥当だと思います。

ちなみに、HAL9000 の眼が赤いのは、Nikkor レンズのこのシリーズには、色々なフィルタが内蔵できますが、白黒撮影用の赤いフィルタ「R60」を使って、レンズの後方に電球を置いて撮影した為だそうです。
(日本の有名なロボット アニメでも、眼(レンズ)が赤く光りますが、入力装置が光ったら見えなくなると思うのは私だけ?)

HALの眼の模式図

探した限りでは、販売している模型やレプリカ、自作された方の作例でも、ニコンの魚眼レンズに赤いフィルターと電球を使用して再現した例は見当たらなかったです。
(映画をよく見返してみると、確かに中央は黄色い光に見えます。赤いライトではないですね。)

凝るならば魚眼レンズをバキュームフォームで作って、レンズの後ろに赤いアクリル板を入れ、筒状の管の後ろに電球色のLEDを置けば再現できそうですが、私も、部品箱の赤いLEDを使います。

このニコンの魚眼レンズは、海外のオークションサイトなどで本物を買うと40万円以上するそうですが、今回は余っている一番大きな直径のレンズを使います。
(SONY製のワイドコンバージョンレンズで魚眼レンズではありませんし、直径が5mm程小さいですが似た感じです。)

「2001年宇宙の旅」より

HAL のスピーカーグリル

本物の HAL は、当時の一般的なラジオのグリルを使っているようで、波型の特徴的な外観をしています。
もちろん、当時のアメリカ製のラジオなど ebay で探しても高価なのは分かっているので、3D プリンタで部品を作成してみました。

残念ながら、いくつか試作しましたが出来が良くなかったので、今回は端材箱で見つけた普通のアルミ製の穴あき板に塗装して使います。

「HAL9000スピーカーグリル」の拡大写真

3Dプリンタで試作した失敗作

スピーカーグリルの失敗作

HAL の本体

本体ケースは、実物に近づけるにはアルミの3mm厚の板で作るべきでしょうが、前回の分光器の製作で余った黒い5mm厚カラーボードを使うのが発端なのでこれを使います。

そのままでは切り口が白いので、塗装ではなくアルミのヘアラインが入ったシートを張ります。
ただし、使うレンズの直径が少し小さいので、オリジナルのサイズを変更(縮小)します。

HAL の機能

人感センサを使って、人が近づいたら眼が赤く光って、有名なセリフを喋ったり歌ったりするようにしたいです。
(追記 「DFPlayer Mini」を使用してSDカードの音声データを再生できました。)

HAL の製作開始

部品の準備

3Dプリンタで部品を作成して、パテうめ、やすり掛け。

3Dプリンタで作成したレンズ周りの部品

カラーボードをカットして接着、アルミの穴あき板を接着します。表面にはアルミシートを張ります。

カラーボードの本体

表面パネルは、画像で見た限りではヘアラインの入った黒いアルミ製なので、黒いカラーボードでは質感が違うため、似た感じの黒いプラ板を切り出し、HAL9000のシールを印刷して張ります。

表面パネル

レンズ部の加工

ニコンではなく、部品箱で余っている SONY のレンズ(直径は 5 mm 小さく、枠幅は大きいです。)
3Dプリンタで作った部品と高輝度赤LEDを装着したら、良い感じに出来ました。

裏に3Dプリンタで作成した部品とLEDを装着

HAL9000 の完成

出来た部品を組み合わせます。
レンズの形が違いますが、それなりの外観の物が出来ました。

パソコンのディスプレイに HAL のディスプレイの画像を表示して、その前に完成した HAL を置いてみました。

PCディスプレイの画像をバックに撮影しました。

下の映画のワンシーンと比較しても良い感じではないでしょうか?

ところで、今頃になってスピーカグリルの色が気になりました。
レプリカや制作例では銀色に見えましたが、映画のHALは濃い灰色に見えます。暗いからそう見えるだけでしょうか?

映画「2001年宇宙の旅」より

まとめ

まだ、人感センサとおしゃべり機能は付いていませんが、スピーカーグリルの裏にスピーカーだけ付けました。次回は、その辺の回路を追加します。

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