10MHz GPSDO を組み立てる その3(動作確認)

GPSDOの組み立てが終了しました。

honkytonkさんのページ(http://triode.dip.jp/honkytonk/2021/12/electronicworks/gpsdo-10-0mhz-plus1.html)に、細かく写真付きで組み立ての説明があるので、(私以外は)問題なく完成するはずです。(私は、いくつかやらかしました。)

OCXOの確認

最初に、取り付ける前にOCXOの機能確認をしました。

電源の12Vをつなぎましたが、このOCXOには基準電圧の出力はありませんでした。
(下側の端子の真ん中は、通常は基準電圧の出力ですが、このOCXOは「NC」です。)

また、EFC電圧は+1Vで+6.3Hz程上昇しました。
無調整の状態でしばらく置いた状態から、10 MHz ちょうどに調整してみると約1.9V必要でした。これなら、OPアンプで増幅しない設定でいけそうです。

OCXOの各端子は、上左:12V、上右:GND、下左:EFC、下中央:NC、下右:RF Out

GPSモジュールなどの確認と準備

次にGPSモジュールにアンテナを付けて、屋内(窓際)で衛星が捕まるか試験しました。
(2月の北海道で、窓を開けて試験は出来ません。)

ATGM336Hにつないだアンテナを、見晴らしの良い窓の外窓と内窓の間に置いた状態で、問題なく多数の衛星を捕捉できました。

D/Aコンバータの Bur-Brown PCM5102A の、裏の設定ピンの半田付けも事前に行いました。

マイコンの配線

さて、次はSTM32F411CEU6の部品の取り外しと、クロックラインの配線の取り付けです。

今回は拡大鏡と半田ステーションを使いました。

小さなコンデンサは半田ステーションで簡単に除去できました。25MHzのクロックモジュールも半田を盛って簡単に外れました。(半田ステーションに追加で取り付けた「半田除去ピンセット?」については、そのうち記事にします。)

拡大鏡でSTM32の部品を除去
半田ステーションの「半田除去ピンセット」は、購入した部品を加工したものです。

基板の半田付け

基板への部品の取り付けは、背の低い抵抗から順に基板に取り付けます。
安定が必要な回路にかかわる抵抗は、指定の抵抗値をマルチメータで測定して確認してから取り付けました。

その後、コンデンサ、ICソケット、端子類、電解コンデンサなどを順調に半田付けして、それぞれの部品の再確認後、ICを挿入する前に各部分の測定をして、問題なさそうなので通電します。

各ICソケットの電源は正常に来ています。いったん電源を切ります。

それでは、ICを刺して「Black Pill」も挿入します。
おっと、STM32のクロックラインは極性がありました。他の端子は逆刺し出来ないものにしましたが、ここのソケットはどちらにでも刺せるので、GND側を計測して再確認後にクロックラインの配線を刺します。

OCXOは、動作確認後に違うもので試験できるようにソケット式に改造したので、全てを差し込んで準備完了です。

STM32のファームウエアが正常に書き込まれているかが気になるところですが、これは、OCXOから10MHzが供給されないと確認できないので、先に進みます。

動作確認

いつも、この時が緊張しますね。電源の正負を再確認して、実験用電源から12Vを供給します。

「お、LCDにロゴが出た!」STM32とOCXO、LCDのラインは動作OKです。
すぐに、GPS衛星を捕捉した表示が出ました。

「よし、周波数も表示された。」興奮の最高潮です。
後は、OCXOが安定して10MHzに近づくのを待つだけ!

不具合の修正

ところが、honkytonkさんのページに、「2ピンの電圧が 5[V] x R6/(R4 + R6) = 4.5[V]となるようにR4とR6の組み合わせを決めます。」とあったのを完全に勘違いしていました。

あくまで、「仮にRef電圧が4.5Vのものを使うとき」の注釈だったのですが、R4とR6を計算してU1の出力電圧を4.5Vにすると思い込んでしまいました。(後から回路図を見れば、すぐわかるのに。)
そのため、R4とR6を差し替え可能なソケット式で仮組していました。

該当部分の回路図(honkytonkさんのページより)

組上がってしばらくは、いくら待っても周波数が10MHzから-4Hz程の状態で止まって動きません。
その理由が分かりませんでした。
当然ですね、アナログ系の基準電圧を5Vとするところを4.5Vにしていたので、EFCが上がらなかったようです。

間違いに気づいて、アナログ基準電圧を5Vにしたら(私の場合はR4を1KΩ、R6をオープン)、問題なく動作し始めました。

周波数の確認

作業部屋は、北海道なので外はマイナス10度位です。
部屋では暖房が動いたり止まったりしていて、常に風が吹いているような悪条件です。
動作確認のつもりだったので、電源もOCXOと制御回路用の電源が同じ実験用電源から+12Vを取っています。

このような状態でも、通電して1時間少々すると周波数の表示は「+0.00028Hz」位でうろうろしています。一応の完成です。

LCDの映りが悪いです。後日、再撮影します。

基本的な機能確認は問題ありません。
しかし、J6につないだ「LOG_OUT」端子のモニターが安定しません。
USB変換ボードをいくつか試しましたが、信号が拾えなかったり途中で停止して、うまくログが取れないので、このままでは皆さんに安定度の報告が出来ないですね。

次は、ログ端子の改善と、しっかりとした2系統の電源を準備して、ちゃんとしたケースに入れた姿をご覧いただきます。

(追記)
honkytonkさんから、ログ出力の情報が得られました。
(ログを取るための端末の設定)

Baud Rate 115,200 bps
Word Length 8 bits
Parity None
Stop Bits 1改行コード LF(\n)

(ログは、LCD 2行目 右側のカウントダウンが0になったタイミングで出力されます。起動時は毎秒出力されていますが、だんだんと出力される間隔が長くなります。一番安定した状態では2,048秒に一度の出力になります。)

つまり、ログは定期的に出力されるわけではなく、周波数が安定するとログが出力される間隔がだんだんと長くなるのですね。

部品表

最後に、必要な部品表をまとめました。赤文字は取り付けない部品です。青文字はジャンパです。(私が作業用にhonkytonkさんの回路図から作成したものなので間違っている可能性があります。)
また、JP5,6,7,8,11,12,13,14,15,16,17,18は半田でジャンパしました。

NAMENAMENAME
C110u/16VR1100Q12SC2655
C210u/16VR21KU1NE5532DD
C3100u/25VR31KU274HC04
C40.01uR41KU374HC04
C510u/16VR533KU478M05
C6100u/25VR6OPENU578M05
C70.01uR7OPENU6PCM5102A
C810u/16VR81KU774AHCU04
C9100u/25VR91.0KU8なし
C1010u/16VR10OPENU978M09
C11100u/25VR111KU10なし
C120.01uR121.0KU11NJM5534D
C1310u/16VR131.0KU12STM32F411
C1410u/16VR14470KU13REF02
C1510u/16VR151.0KU1424LC128
C1668pR161.0K
C170.01uR171.0K
C18100u/25VR181K
C1910u/16VR191K
C2010u/16VR202.2K
C2110u/16VR212.2K
C2268pR221.0K
C2310u/16VR234.7K
C240.01uR244.7K
C2510u/16VR25OPEN
C2610u/16VR261.0M
C27100u/25VR271K
R281K
R291K
R3033
R31100
R32100
R3333
R3447
R3547
R3633
R3747
R3847
R390
R4033
R410
R421K
R4347
R4447
R4533
R4647
R4733
R4833
R4947
R5010K
R511K
R52100
R53100
R54100
RV1100K

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