パワーバンク3号機の製作

防災用モバイルバッテリ、パワーバンクを製作する企画の最終回です。
今回は、ダイソーの工具箱を使った大型パワーバンク3号機を作ります。
すでに、2台の同じ形のパワーバンクを作っているので、サクッと完成させます。

パワーバンク関連記事は、下のリンクをご覧ください。

使用部品

ケース

ダイソーの工具箱「smoky シリーズ」の工具箱です。(店舗によっては、すでに在庫がないかもしれません。)
色は、緑とオレンジがありましたが今回使用したのは緑色です。(税込み220円)
サイズは実測値で、25 × 12.5 × 10 cmです。

防水性はありませんが、屋内の避難所で使う予定なので大丈夫です。
上部には、3つの半透明ふたが付いています。

基板

内蔵する基板には4種類必要です。
動作に重要な「リチウム電池充電基板」、「LED 点灯基板」、「LED 制御基板」と「5 V 降圧基板」です。

リチウム電池充電基板

この基板は、18650 型リチウムイオン二次電池(3.7 V(満充電で4.2 V))を直列3本、並列で合計6本使用します。
ちなみに電池規格の「18650型」は、直径18 mm、長さ65 mm なので、憶えてしまえばサイズがイメージしやすいですね。

この基板は、購入した AliExpress の同様の商品がダイソーの工具箱の中には「微妙に大きく」入らなかったので、基板メーカにオーダーして自作しました。

裏側には充電回路が取り付けられています。

LED 点灯基板

正式名称は分かりませんが、AliExpress で購入したタクトスイッチなどで回路の電源を切り入り出来る基板です。
型番は SL91A01 です。
端子は左端から、
・VI:電圧入力(2 ~ 18 V)
・G:入力グランド
・G:出力グランド
・Vo:電圧出力
・T1,T2:外部スイッチ

LED点灯基板

LED制御基板

これも名称不明の AliExpress 扱い品です。
LD25AJTB という型番のこの基板は、ボリュームで LCD の明るさを調整できます。
(写真では端子が付いていますが、販売時にはありません。)

5 V 降圧基板

「Mini 560」という降圧基板です。
・入力電圧:5.5 V ~ 20 V
・出力電流:4 A(5 V 時)

LED ライト

ケースの側面に取り付けた LED ライトは、ダイソーの「カラビナ付 2WAYランタン」を分解して使いました。(COBとLEDが付いて110円です。)

USB 端子

USB 端子も AliExpress の基板に取り付けられたものを使いました。
VBUS に +5 V、GND にグランドをつなぐだけなので簡単です。(D+、D- はデータ通信用です。間違って電源をつながないでください。)

残量表示 LED ユニット

電池型に残量が表示できる LED ユニットを使いました。裏に記載されている型番は MH-DL18S です。
この基板は、裏側のジャンパ設定で、18650 などのリチウムイオン電池を1セルから8セルまでの残量表示に対応しています。

前回はトグルスイッチを使いましたが、今回はタクトスイッチにしました。写真は、動作確認用のタクト・スイッチを取り付けた状態です。

その他

前回、試験的に内蔵した「AC 100 V インバータ」(車載用で DC 12 V を AC 100 V に変換)ですが、ケース内では動作時に冷却が出来ないので、外に出せるように改造します。

AC 100 Vインバータ

製作

LED ライトの加工

ダイソーの「カラビナ付 2WAYランタン」の上下を切り取って、裏側でホットボンドで固定します。
最後に端子付き配線を付けたら出来上がりです。

白い反射板の裏側は、都合よく(この LED ライトには使われていないのにナゼ有るの?)固定用のネジ穴があるので、これでケースに固定します。

LED ライト部分の配線

LED ライト部分の回路を配線します。
この状態で 12 V を流すと、スイッチ ON で点灯して、ボリュームで明るさを調整できました。

ケースを加工して、LED ライトと関連回路を組み込みます。
ケース内側です。

ケース外側の LED ライト部分です。

USB 給電回路の配線

+5 V の給電回路を配線します。
他の2台と同じく2回路の出力としました。
途中経過を省いて、完成写真です。

残量表示 LED ユニット

ケース上蓋の小さいフタ部分に残量表示ユニットを組み込みます。
以前の2台には充電池の温度上昇が分かるように温度計を組み込みましたが不要だと感じたので、今回はLED ユニットだけにしました。

リチウム電池充電基板の組み込み

リチウム電池充電基板を3段、ケース内に組み込みます。
高電流が流れる回路なので、安全のためにゴム手袋をはめて作業を行います。
DC 12 V 出力は、制御基板が取り付いている一番下の基板から取ります。

下の写真は、2段目を組み立てているところです。

3段目を組み立てて、動作確認を行って完成です。
今回は、2号機製作から少し時間が空きましたが、必要な部品が揃っていて、製作は3台目なのでケースの加工を含めても短時間(日曜日1日程度)で完成しました。

AC 100 V インバータ部の改良

パワーバンク3号機が、サクッと完成したので、AC 100 V インバータの改良を行います。

パワーバンク1号機には、インバータを内蔵してケースから直接 AC 100 V が取れるようにしていました。
しかし、狭いケース内に組み込むと、せっかくインバータに内蔵されているファンの意味がなくなり空冷が出来なくなります。
そのため、インバータは使うときには外に出すように改良します。
(インバータ収納の状態、上下に隙間がなくピッタリです。)

AC給電付きパワーバンクの内部

接続方法の検討

現在の配置は、ケース横に AC 100 V コンセントとスイッチを内蔵していました。

AC 100 V出力部分

このスイッチを取り除いて、コンセント部分に DC 12 V の接続端子を取り付けます。

接続端子

今までは、電流が大きく流れる回路には、下の様な端子を使って配線を接続していました。

他に沢山の電流を流しても大丈夫で、しかも安価なコネクタがないか色々と探しました。

XT60 コネクタ

黄色くてカッコいいコネクタを見つけました。
XT60 コネクタです。

その規格は、(12AWG ケーブル使用時)
・最大電流:35 A(規格的には XT30 が 30A、XT60 は 60 A、90 A の XT90 も有り)
・最大電圧:500 V DC
・サイズ:縦 15.7 mm 横 8.1 mm
・三角側がマイナス

ですから、今回の用途には十分です。

大容量のリチウムイオン電池が登場して、対応するために出来たコネクタです。
今後も、大きめの容量が必要な DC 電圧の供給には、このコネクタを使っていきたいと考えています。
このコネクタに使えるよさげな部品を、いつもの Thingiverse で 3D データを探します。

XT60 Plug Housing | Gen2

XT60 コネクタにコンセントの様なケースをかぶせて扱いやすくするものです。
リンク先:XT60 Plug Housing | Gen2

完成品はこんな感じになります。カッコいいですね。
この端子は、インバータ側に使用します。

XT60/XT30 mount

XT60 コネクタを固定する部品です。
ケースに内蔵するタイプは色々な物があったのですが、これのように何かの上にマウントするタイプは見かけませんでした。
リンク先:XT60/XT30 mount

作ってみると、100 V 用のコンセントが入っていた部分にスッキリ収まりました。

DC 12 V 接続端子に改造したものです。

ここにインバータを接続して動作確認を行います。
出力の AC 100 V は正常に出力されました。
冷却ファンも元気に回転しています。

評価

実測で1本 2 000 mAh 以上のバッテリを18本内蔵したので、合計で 40 000 mAh 程度の実力がある、小型で持ち運びが容易なパワーバンクが、合計で3個になりました。(3つ合わせると 120 000 mAh程度)

さらに、小型の AC 100 V インバータも使えるようになったので、使用するシーンに幅が出来ました。
これで、災害にあって避難所に行っても、数日間は大丈夫そうです。

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