今回は、調子の悪くなったラベルプリンタ「テプラ」の代わりに購入した NIIMBOT D110 の導入と、通常では純正のスマホアプリからしか印刷できませんが、パソコンにつないで活用する方法の解説をお送りします。
テプラについて
「テプラ」はキングジム社のラベルプリンタです。
国内では他にも数社が、同じようにラベルを印刷する専用のプリンタを販売しています。
我が家のテプラは、まだまだ現役で色々なテープの在庫も残っています。
このプリンタは色々な自作器材や部品のラベル作りに活躍していますが、すごく古い器材なので時々電源が入らなくなったりしています。
そこで、画面表示のない安価なテプラの購入を考えていました。
しかし、パソコンにつないで使う一番安価なタイプでも税抜き 20,000円です。(幅の広いテープが使える機種は 63,000円)
もう少し安い物を探すと、スマホ専用なら「テプラ」PRO SR-R2500P が 8,000円でした。
安売りしている時は、もっと安く手に入るようです。

これなら、作業部屋にあるテプラの在庫のテープが使えます。
その中には黒っぽいケース用の、テープが透明で文字色が白という、ちょっと特殊なテープもあります。(これが便利に使えています。)
このテプラが安売りしないかなぁ。と待っていると、Amazon で他のラベルライターが爆安で販売していました。
NIIMBOT D110
NIIMBOT 社は初めて聞きましたが(私が知らないだけで、多分、有名な企業だと思います。)、2012年に中国の武漢で発足したスマートフォン向けのラベルライターを開発・販売しているメーカのようです。
NIIMBOT 社は、今回安売りしていた D110 以外にも、色々なプリンタを販売しており、変わった物では黄色いピカチュウ・モデルも販売していました。
D110 の特徴
ラベルライター D110 とテプラ SR-R2500P との比較です。
D110 | SR-R2500P | |
対応テープ幅 | 10~15mm | 4~24mm |
テープ印字方法 | 感熱式 | インクリボン式 |
対応 | スマホ | スマホ |
接続方法 | Bluetooth | Bluetooth |
電源 | 充電式 | 電池,ACアダプタ |
テープカット | 手動 | 自動 |
テープ種類の識別 | 自動 | 手動 |
サイズ | 7 x 10 x 2 cm | 5.4 x 13.2 x 14.6 cm |
重量 | 280 g | 440g(電池除く) |
価格 | 4,199円 | 8,000円 |
気になるところが2つあります。
テープが感熱式
テプラの良いところは、インクリボン式なので何年たっても文字が変色しないことです。
テープカートリッジも、しっかりとしたケースに入っているので安心感があります。(NIIMBOT は見たところ普通の紙テープです。)
感熱式と言うと昔のワープロの印刷用紙を思い出します。あれって、時間がたつと文字が消えるけれど大丈夫なのかなぁ?
テープカットが手動
D110 は、サイズが決まった定型のラベルに印刷します。
テプラは、基本的に長さの制限はありません。ファイルの背表紙などの長尺にも余裕で対応します。
D110 が爆安!
しかし、値段が違いました。
D110 は通常価格が 4,199円のようですが、Amazon のタイムセールで 2,760円です。
さらに、クーポンが手に入ったので、ボディカラーが白だけですが 40% オフで 1,781円です!(テープが1本付属します。)
テプラの純正テープ1本を買う値段で、ラベルライターがセットで購入できます。
これは買うしかないでしょう。
すぐに注文しました。
商品が到着
注文後に詳細を見ると、冬の北海道だからなのか、いつもすぐに届く Amazon でも到着予定が1週間後になっていました。
ところが、4日ほどで到着しました。
早く付いて満足です。
いつもの Amazon らしく、でっかい箱の中に小さな箱が入っていました。

開封
しっかりとした箱の中に、
・プリンタ本体(テープ入り)
・充電用の USB Type-C ケーブル
・日本語取扱説明書
が入っていました。

本体はこんな感じです。
デザインは良い感じです。

充電と付属ケーブル
充電されているか分からなかったので、手持ちの USB Type-C ケーブルで充電しておきました。
我が家では、リビングの手の届く範囲に、スマホやタブレットがいつでも充電できるように電源アダプタにつながった USB ケーブルが何本か準備されているので、それを使いました。
充電が終わるまで暇なので、付属ケーブルを試験しました。
以前、USB PD の検証で使用した「USBケーブル・テスタ(ADUSBCIM USB CABLE CHECKER 2)」です。
この USB ケーブルチェッカでテストすると、内部の配線は電源用の2本しかつながっていない上に、こんなに短いのに抵抗値が「HIGH」(1,100 mΩ 以上)表示と言う、接続すると電源アダプタも器材も壊れそうな「怖いケーブル」でした。(普通ならばこの長さなら 100 mΩ程度)
本体が激安だったので、仕方がないかぁ。

テープの収納
専用テープが内部に入っていました。
ラベルのサイズは、幅 15 mm、長さが 30 mm の白いラベルです。

事前に分かっていましたが、テプラのようにしっかりとしたテープカートリッジではなく、マスキングテープのように、軸に紙テープが巻かれた感じです。
しかし、どうやってテープの種類を自動認識しているのかな?と思ったら、 RFID(無線で認識する超小型チップ)がテープに内蔵されているようです。
これが付属するテープです。
印刷する時には、テープに張ってある固定用シールをはがして、右側に排紙されるように、この状態で挿入します。

本体にテープを入れた状態です。
ちなみに、本体上の右側に見える灰色の出っ張りが、テープ部の開閉用です。

印刷開始位置に戸惑う
今まで使い慣れているテプラでは本体にカートリッジを「ポン」と入れると印刷開始できますが、D110 はラベルのサイズが決まっているので、位置決めがズレていると印刷位置がズレてしまいます。
こんな細かいことを気にするのは私だけかもしれませんが、使い勝手を考えたら本体の紙送り部あたりに「ラベル開始位置」の線を1本引いておいてくれれば、誰でもミスなく使えるのになぁ。と思いました。
しかし、取扱説明書にも本体のテープを入れる部分にも(私が見た限りでは)「合わせ位置」が書いてありません。
何度か失敗して良い感じで印刷できる合わせ位置は(私の購入した個体では)、ラベルの端を印字部の金属の端に合わせると良いようです。

付属した白い 15 x 30 mm のラベル以外にも何種類かのラベルを注文したので、そちらでも試してみましたが、合わせ位置はこのあたりで大丈夫でした。
印刷用スマホ アプリ
付属する日本語の取扱説明書では「NIIMBOT」と「NIIM」という2種類のアプリが紹介されていたので、両方をスマホに入れてみました。
立ち上げてみると、「NIIM」の方は乙女的な画面構成で、いい歳のオッサンの普段使いにはちょっと恥ずかしかったので削除しました。

「NIIMBOT」は、普通のラベルプリンタを使ったことがある方なら、簡単に使えるアプリです。
作ったラベルを印刷する手順は、
1 本体の電源スイッチを3秒間長押しする。電源ランプが点滅する。
2 スマホで Bluetooth を登録する。(「D110-」で始まるプリンタが見つかるはずです。)
3 挿入したテープのラベル種類が自動認識されるので OK を押す。
4 ラベルを作成して、印刷を押す。
5 必要に応じてラベルのズレを修正して、再度印刷する。
6 電源スイッチを3秒長押しして電源を OFF にする。
ただし、注意事項がいくつかあります。
・アプリで準備されている「良い感じのラベル例」はサブスクでお金を払わないと使えない。
・アプリの起動には位置情報が求められる。
・作成したデータを保存するにはユーザ登録が必要
・電源スイッチを短く押すと、勝手にもう1枚印刷される。
サブスクでしか使えない良い感じの図形の代わりには、準備した画像を読み込み出来るので問題ないですね。
それ以外の機能制限は「安かったので仕方ないな」と我慢します。
電子工作で使おうと思って試しにオリジナルのラベルを作りました。
こんな感じのラベルなら、一瞬で完成します。
便利ですね。

スマホ以外で使えるアプリ
スマホのアプリでも、ちゃんとラベルが印刷できましたが、文字入力にはパソコンが使えた方が便利です。
そこで、調べてみると純正の Windows 用アプリ「NIIMBOT」と、個人で開発された Web アプリ「NiimBlue」の2種類が見つかりました。
Windows 用アプリ
「NIIMBOT for Windows」をダウンロードします。
私が見た時のバージョンは V 3.10.10 でした。
同じページにドライバも置いてあるので、一応ダウンロードしました。
NIIMBOT for Windows を起動します。
Bluetooth でつなごうとしましたが認識しません。
ドライバのインストールが必要なのかな?
ドライバを入れて、さらにパソコン側の Bluetooth で D110 を認識させて、再度 NIIMBOT for Windows を起動しましたが、プリンタが認識できません。
もう一度ダウンロード先に行ってみると、サポート機種は「B21/B1/B3S」のみと書かれていました。
ダメじゃん。
パソコンでこのアプリを使って、D110 で印刷するのはあきらめましょう。
Web アプリ
次に Web アプリ版です。
GitHub で探すと、NIIMBOT 用の Web クライアント/アプリ「NiimBlue」がありました。
今度は対応機種を最初に確認します。
「D110 and B1」と書かれているので大丈夫ですね。
これがあれば、ユーザー登録や有料のサブスク登録などの必要はなく、Web ブラウザーから直接 NIIMBOT プリンターでラベルをデザインして印刷できます。
ただし、サポートされているブラウザを見たら、いつも使っている FireFox が未対応になっていました。
しかたがないので、Google Chrome を立ち上げます。
使い方は簡単です。
1 パソコンの Bluetooth で D110 プリンタをペアリングする。

2 GitHub で指定されているアドレスを(対応しているブラウザで)開く。
Google Chrome なら、こんな画面が開きます。

3 ラベルプリンタ D110 の電源を3秒長押しして入れる。
4 右上の青色プラグのアイコンを押して、プリンタを接続する。
5 ラベルを作る。
6 必要に応じて保存する。
7 印刷する。
位置情報も、ユーザ登録も、サブスクもない自由な世界でラベルプリンタが使えました。
快適です!
NiimBlue の操作方法
この Web アプリは大変良く出来ていて、完全にローカルで動作し、個人情報を外部に送ることは有りません。(住所と名前・電話番号を印刷したら、そのデータがどこかの国のサーバで保存し利用されたらイヤですよね。)
作製したラベルのデータ保存もローカルで行われます。
さらに、 csv ファイルを読み込んで、連続データの差し込み印刷やラベルのプレビュ機能もあります。
現在のバージョンの各アイコンの意味は図を見てください。

操作方法は各項目のとおりです。
ラベル設定
(細部はまだ確認していませんが、多分)この Web アプリには、純正アプリのように自動でラベルのサイズを認識する機能はありません。
そこで、この「設定」アイコンをクリックしてラベルのサイズを設定します。
しかし、少し使い方に工夫が必要です。
試しに付属の 30 x 15 mm のラベル用に「30 x 15 mm」のラベルを新規作成して、端まで使うデータを作って印刷してみたらラベル内に収まらずにはみ出ました。
あらかじめ準備されている「30 x 12 mm」を使ったら、ちょうど良く印刷できました。
つまり、前後のサイズはラベルと同じ長さで設定しますが、幅は 3 mm 狭く設定しないとダメなようです。

保存・読み込み
「保存」アイコンを押すと、この画面が表示されます。
保存したラベルには、付けた名前以外にプレビュ画像が付くので分かりやすいです。
解説のために私が勝手に「保存」と書いていますが、正確にはデータの保存・読み込みアイコンです。
ここで、ローカルに保存したラベルデータを読み込むこともできます。

データ処理
「データ」アイコンを押すと、別に準備した csv ファイルを読み込んで差し込み印刷が出来ます。
例えば、バーコードのデータと名前のデータを読み込めば、自動でバーコード・ラベルを作れます。

アイコン読み込み
「アイコン」アイコンを押すと、Google Fonts に登録されている種類別に区分された山の様な数のアイコンを読み込むことが出来ます。(名称で検索もできます。)

各種データの挿入
「挿入」アイコンを押すと、色々なデータを読み込むことが出来ます。
読み込めるデータは、
・テキスト
・図形(線・四角・〇)
・画像
・QR コード
・バーコード
・ZPL ファイル
読み込んだ画像は、写真ならプレビュ画面で簡単な画像処理をして印刷が出来ます。

プレビュ
「プレビュ」アイコンを押すと印刷前に画像で確認できます。
ここで、印刷前に確認するだけではなく、写真画像を読み込んだ時は、「Post-process」と「Threshold」を調整すると、真っ黒に見えた画像がハッチング処理がされて良い感じに調整できます。

評価
激安で購入したラベルライター NIIMBOT D110 は、純正のスマホアプリには少し思うところがありましたが、MultiMote さんが作られた Web アプリ NiimBlue のおかげでローカル環境で便利に使えています。
この Web アプリがあれば、パソコンではなくスマホやタブレット、ラズパイからでもブラウザさえ使えればラベルライターで印刷が出来ます。
現在もテプラは愛用していますが、NIIMBOT で「透明テープで白文字」のラベルが販売になれば、テプラの出番はほぼなくなりそうな気がします。(熱転写じゃ黒文字以外は無理かな?)
現在の満足度は、付属のUSB ケーブルが良くないのと、入手できたラベルの種類が少ないので95点です。
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