LED ストロボスコープの組み立て

大変お世話になっている「ラジオペンチ」さんのブログには、沢山の楽しい電子工作の製作例があります。
その中で、今回は「LED ストロボスコープ」を組み立てます。
(写真はラジオペンチさんのブログより)

ラジオペンチさんの「LED ストロボスコープ」に関する記事は13件書かれています。
リンクは下をクリックしてご覧ください。別窓が開きます。

LED ストロボスコープとは、テレビの教育番組などで見る水道の水滴が止まったりするアレです。
モータやエンジンの回転数を見るのに使ったりする計測器ですね。

黄色で有名な計測器会社の Fluke 社も「820-2」というハンディな LED ストロボスコープを販売しています。
(Fluke 社の HP より。正面には7つの高輝度 LED が付いているようです。)

細かく説明すると、
内蔵する高輝度 LED を観測したい物体の動きや速度に合わせて点滅する間隔を調節することで、地面を転がるボールや自動車のエンジンなど数千回転程度の回転速度で運動する動きを停止して捉えるために使用します。

一家に一台あると便利そうですね。ガジェット好きにはたまりません。
これを手持ちの部品で組み立ててみます。
よし、やってみよう!

ケースの選定

ラジオペンチさんのオリジナルの LED ストロボスコープは、タカチ社の SW-130 というケースを利用しており、サイズは 40 × 25 × 130 mm と片手で握りやすい良い感じのサイズです。
その分、ラジオペンチさんの製作記事にも書かれていますが、厚みがないために組み立てには苦労されたようです。

そこで、いつものダイソーでいい感じのケースがないか調査開始です。
さっそく、良い物を見つけました。
9SMD&1LEDBOXライト」です。(税込み110円です。)
(同じ物がセリアでも入手可能 )

サイズは 4.6 cm × 3.5 cm × 14 cm と、縦・横・高さが少しずつタカチ社の SW-130 より大きいという絶妙な大きさです。

写真右側にある LED は、かなり明るいらしいのでそのまま使えますね。
側面についている電源スイッチと裏側にある単3電池が3本入る電池ボックスも良い配置です。
9個の SMD の LED が並んでいる部分は透明な窓になっているので、動作状況を表示する通常サイズの液晶画面が入ります。

部品の準備

オリジナルの回路図から、抵抗やコンデンサ以外の主要な部品を書きだします。

Atmega328P
セラロック:16 MHz
・この2つの部品は、オリジナルではケースサイズの制限で MCU 単体を組み込んだのですね。今回は完成品の Arduino Nano を組み込みます。

LED 1 W
・ワット数は不明ですが「9SMD&1LEDBOXライト」の LED をそのまま使います。

2SK2232(60V25A NchパワーMOSFET)
10kΩ B VR1
・どちらも部品箱から適当な代替品を選択します。

SW1:UP
SW2:Down
・SW1,SW2 はタクトスイッチを使います。
SW3:A/D切替
・1回路のスイッチなので、元の電源スイッチを使います。
SW4:動作モード
・2回路のスイッチなので、スライドスイッチを追加します。

試運転

写真を撮り忘れましたが、ブレッドボードで試験運転をしました。
前回記事にした ATtiny ではなくて良く使う Arduino Nano なので、USB ケーブルをつなぐだけで Arduino IDE から簡単にプログラムが書き込めます。

ちなみに、ラジオペンチさんの「LED ストロボスコープ」の記事は13件ありますが、その中身は大きく分けて2つからなります。
・LED ストロボスコープ:今回組み立てるものです。
・高速 LED ストロボ:パワー LED をたくさん並べて光量を増したLED ストロボスコープ用の増設ボックスです。

その中でも「LED ストロボスコープ」の Arduino 用のスケッチは、「Arduinoで作るLEDストロボスコープ(ハード/ソフト解説編)」の記事の中間あたりに置いてあります。
テキスト形式なので、落として来て Arduino IDE へコピーペーストします。

Arduino UNO 化した Nano へスケッチを書き込みます。
ダイソーの LED ライトから外した LED が、SW4 を切り替えて可変抵抗を操作すると、普通のライトになったり点滅したりと問題なく動作が確認できました。

では、実際にケースに組み込みます。

部品の配置

ケースを分解してよく見てみると LED 周りには適度なスペースがあります。
ここに LED を駆動するのに必要な部品を入れます。

オリジナルの「MCUボード」上の抵抗を一部含みますが、これらの部品を LED 周辺の空間に収めます。
(元の回路図の 2SK2232 は部品箱にあった EKI04036(40V 80A)に交換しました。)

ちょうど LED 下の空きスペースに電解コンデンサとMOS FET などの大きい部品がスッポリ収まりました。
近くに設置したユニバーサル基板の切れ端に抵抗を組み込みました。

電池ボックスは単3電池が3本入る作りですが、電池2本を昇圧して +5 V にしているので、電池の空きスペースにスイッチ SW4 と小型昇圧回路(OLED オシロスコープで使用したものです。)、昇圧回路のノイズ対策用の電解コンデンサなどを入れ込みました。

思ったよりも場所を取る可変抵抗は、後部に取り付けました。

Arduino Nano (互換機)を取り付ける MCU ボードはユニバーサル基板を加工して作りました。
色々な部品を他に移設したので、ボード上には抵抗とコンデンサが1個づつしか乗っていません。
(もう少し配置を考えれば、このボード自体がいらなかったかな?)
内部に十分な広さがあったので Arduino Nano 上の6ピン端子を取り除けば、ボードは横に収めることが出来ました。

LCD ディスプレイを取り付ける上蓋は、SMD LED が入っていた透明な窓にマスキングして黒スプレーで塗装しました。
そして裏側に LCD ディスプレイをホットボンドで固定します。
(LCD ディスプレイは部品箱で余っていたバックが青で白文字の物を使いました。多少見づらい感じです。)

なお、液晶画面の輝度調整にはダイオードを使用しています。よく見る電子工作入門などでは VR を使いますが、ラジオペンチさんの紹介するこの方法は大変スマートで調整不要です。これを知ってからはパクらせて常用させて頂いています。:D

完成

ケースは組み合わせる時に多少の追加の加工が必要でしたが、フタを閉じて4本のネジで止めると完成です。

上から見た所
ラジオペンチさんのオリジナルは高輝度 LED がケースから外に配置されているので、右側が LED の発光部のように見えますが可変抵抗です。実際には左側の内部に高輝度 LED が入っています。
(LCD 用のマスキングが少し甘かったのか、右下側の透明プラが少し曇っています。残念!)

側面です。(文字の配置の関係で上の写真とは左右が逆です。)
左から
SW2:DOWN
SW1:UP
SW4:LIGHT / STRBO 普通の LED ライトとストロボの動作モード切替
SW3:DIGIT / ANALOG 切替

文字の表示にはテプラを使いました。
透明テープで黒文字を使ったので、イイ感じの表示が簡単に出来ました。
(黒のケースなら透明テープで白文字を使います。)

各スイッチの機能説明は、「Arduinoで作るLEDストロボスコープ(機能解説編)」をご覧ください。

反対側の側面です。
上側が Arduino Nano の USB 端子です。プログラムがバージョンアップしたら、ここから書き込みが出来ます。(外からつなげる端子は、いらなかったかな?)
下側の丸穴がモニタ用のイヤホン端子です。

動作試験と評価

Arduino Nano の USB 端子の加工精度が悪いですが、それ以外は元の LED ライトからの変更は自然な形状に仕上げることが出来ました。

モータの回転数を確認

以前から回転数が気になっていた「改造丸ノコ」の回転数を調べます。
(プロクソン社 OEM の糸ノコを丸ノコに改造した記事は、下のリンクをご覧ください。)

本体裏には「2700 RPM」と書かれていますが、糸ノコの上下運動を丸ノコの回転運動に改造した際に内部のギヤ比率も変わっているので、当然、回転数も違うと思います。

この改造丸ノコはプリント基板の裁断にしか使っていませんが、少し力不足な感じがしています。
でも、ハサミも工具も使い様なのでコツがつかめれば多少の事は問題ありません。

写真では見づらいと思いますが、LED ストロボスコープで歯が停止して見えることが分かりやすいように、刃に白と黒の点を塗装してあります。

写真では上手く映らなかったのですが、LED ストロボスコープのノブを回すと回転が止まって見えました。
(LED ストロボスコープと丸のこを手で押さえながら、足でフットスイッチを押してカメラで撮るのは難しいですね。)

この LED ストロボスコープなら、アナログモードを使えば VR を回すだけで 300 ~ 60 000 rpm まで自在に回転数を確認できます。
さらに、ソフトの処理で VR の回転角度と周波数の変化率が常に一定なので、操作感も抜群です。

丸ノコの刃が止まって見えた時の回転数は、4000 RPM 程度でした。
やはり糸ノコの時より回転数は上がっていました。

水滴の撮影

百均で売っていた LED ライトでは光量が足りないと思いますが、一応、ラジオペンチさんが「高速 LED ストロボ」を使って撮った写真をマネして水道の水の写真を撮ってみます。

ラジオペンチさんの作った、大きな「高速LEDストロボ」とは違って光量が少ないですが、その記事を参考にバックを黒紙にしてみます。

最初に、普通の LED 照明です。
ちょっと水量が多かったですね。

水量の調整が難しいですが、ちょろちょろと出しながら写真を撮りました。
水滴が完全に止まった写真を写すには修業が必要そうですが、何とかそれっぽい写真は撮れました。
(きれいな写真を撮るには、ストロボの点滅速度・カメラのシャッター速度など試行錯誤が必要そうです。)

評価点数

ハンディな LED ストロボスコープが出来ました。
これから、色々な物の回転数などを簡単に計ることが出来て、手の内に入る計測器が手持ちの部品とダイソーの LED ライトで簡単に出来ました。
製作に必要な情報を公開して頂いたラジオペンチさん、いつもありがとうございます。

ところで、この LED ストロボスコープにはスイッチで切り替えられて明るさを調整できる LED ライト機能がありますが、この機能が思ったよりも使い勝手が良いです。
(少し暗いところを探すのに、手元に置いておくと便利です。)

皆さんも「夏休みの工作」にいかがですか?
満足度は95点です。(USB 端子の加工と 液晶表示部分の見た目が少し不満です。)

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