3D プリンタ用「温室」を作ろう

皆さん、3D プリンタを使っていますか?
私は、小さな部品やケースなどを気軽に作るためによく使っています。
使用しているプリンタは、少し古いAnycubic社の「i3 Mega」ですが、フィラメントの除湿ボックスを作って以来、調整いらずで良い感じで使えています。(除湿ボックスの製作は、以下のリンクをご覧ください。)

今回は、プリント品質を良くするために「温室」(3D プリンタの温度を保つための保温用エンクロージャ)を作ります。

3D プリンタのおさらい

現在、手軽に自宅における価格帯の 3D プリンタには、熱溶解積層方式(FDM : Fused Deposition Modeling)と光造形方式があります。
光造形方式のプリンタは、販売している商品並みの正確な出力が可能ですが、UV レジンという家庭で扱うには抵抗のある液体の内部で光を当てて硬化させます。硬化後の後処理にも専用の液体を使用するのでハードルが高いです。

熱溶解積層方式はプラスチックの素材を細い棒状にしたものを熱で溶かして積み上げます。多少の匂いは発生しますが、自宅に専用の設置場所が確保できれば問題ない程度です。

写真の印刷に例えると、光造形方式は昔の写真プリントで現像液や暗室が必要ですが、熱溶解積層方式は家庭用のレーザープリンタぐらいの感じでしょうか。
私が使用しているのは FDM 方式の 3D プリンタなので、以下の解説は FDM プリンタについてです。

FDM 方式の改善方法

FDM 方式の 3D プリンタでプリントを失敗しないための方法は色々とあります。
実際にやってみて効果があったのは、

1 除湿ボックス:材料のフィラメントが湿度の高いところで水分を含むと、プリントに失敗するので夏場の梅雨時期には必須です。(細部は、上のリンク先をご覧ください。)
2 ノリの使用:聞いたときは半信半疑だったのですがプリントするヒートベッドに「シワなしPiT」を塗ると材料が剝がれなくなります。(プリントが終了して温度が下がると自然と剥がれます。)ABS や PETG といった材料を使用する時には必需品ですね。

トンボ鉛筆の HP より引用

3 冷却ファンの改善:最近よく使っている PETG という材料は、熱で溶かした後の冷却が甘いと「糸引き」が発生します。そこで、プリンタ・ヘッド部分の冷却ファンを1個から2個に増設して冷却能力を向上しました。

そして、今回の記事にある「温室」です。
プラスチック材料を熱で溶かす FDM 方式では、プリント中の本体の温度を(ある程度)高温に保った方が品質の良い出力が期待できます。
そのための専用のボックスやテントなども発売されていますが、自作される方も多いようです。

3D プリンタの設置場所

設置場所は作業部屋の壁面書庫内です。
この写真の右側に置いてあるのが、3D プリンタの材料のフィラメントを除湿するボックスです。

この部分を保温用のエンクロージャ化するには、設置場所に単純にフタを付ければ良いんじゃない?と思っていたのですが、
壁面書庫の前面から見たサイズは、横 56.5 cm X 縦 54 cm 程度あるので、プリンタ本体とドライボックスを置いても余裕があります。
しかし、壁面書庫の奥行は約 40 cm で、可動部を含んだ 3D プリンタの設置面積が 50 cm ぐらいなので 10 cm ほど足りません。

そこで、あまりスマートでないですが、余裕を持たせて壁面書庫から 15 cm 出っ張ったフタ状の部分を作ります。

使用材料

見た目を壁面書庫に合わせるには、濃い目の色の木材を使うと良い感じに出来上がりますが、安価で簡単にできるように「プラダン」を使ってみます。
プラダンとは、プラスチックで出来た段ボール状の板です。軽くて加工が容易なので引っ越しの養生資材としても使われています。
ホームセンターで購入できて、販売価格は数百円と安価です。(小型の物はダイソーでも販売しているようです。)

早速、近くの大きなホームセンターへ出かけます。
サイズは余っても良いので、ベニヤ板と同じ 幅 91.5 cm × 奥行 182 cm × 厚み 0.25cm を買って帰ります。
色は青や黄色のカラフルなものは目立つので、ナチュラル(白色)にしました。

材料の加工

プラダンは、段ボールと同じようにカッターで簡単に切断できます。
サイズは、こんな感じで切ってみました。(この図では側面板が1枚ですが、2枚作ります。)
上部を斜めにしているのは、壁面書庫の扉の開閉に干渉しないようにした工夫です。

取り外せるフタ部分です。接着部分を減らすために折りたたんで組み立てます。
横長の別部品は、フタの下側が歪まないようにする強化用です。

プラダンは内部が見えないので、窓を作りました。
窓部分には廃材として取っておいた透明なプラ板を使いました。

組み立て

接着剤とテープで組み立てます。
材料の切り出しが終わっていれば、1時間以内で出来上がります。
「温室」の枠部分を壁面書庫にはめ込みます。

そして、フタ部分を枠に取り付けます。
良い感じで出来上がりました。

ちなみに、横から見た出っ張り具合です。
15 cm 位なので、それほど気になるサイズではないです。(色は茶色が良かったなぁ。)

動作試験

早速、大きめのデータをプリントしてみましたが、ヒートベッドからのはがれもなく16時間分のプリントが終了しました。
これで冬場でもさらに安定して 3D プリンタを使うことが出来るようになりました。
(北海道の室内は、暖房がないと非常に寒いです。)

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