最近、KiCad で自作基板を作ることが増えました。
それまでは、ユニバーサル基板(0.1インチ間隔で穴の開いた基板)を使うことが多かったのですが、プリント基板をオーダーして SMD(Surface Mount Device:表面実装部品)を自宅リフローする極楽環境に慣れてしまったら、後には戻れませんね。
自作プリント基板では SMD 部品を使うことが増えました。
リード部品は手頃なサイズで取り扱いは楽ですが、所定の場所に差し込んで半田付けをして足を切断する手間がかかります。
SMD 部品ならリールに巻かれた部品の帯から取り出して、クリーム半田を塗布した基板に乗せて焼くだけで出来上がりです。
色々と便利な SMD 部品ですが、リード付きのトランジスタや抵抗と違って色々な種類(サイズ)があって毎回調べるのは面倒です。
そこで、忘備録として SMD 部品のサイズを見た目でわかるように整理しておきます。
(必要に応じて修正・追加します。)
今回の記事を作る際の図の元となるデータシートは「TOREX(トレック)」さんの「パッケージ」のページを利用しました。
抵抗・コンデンサ
SMD の抵抗とコンデンサの外観はほぼ同じです。
抵抗は黒系の色で、通常は表面に3桁の数字が書かれています。(4桁もあり。)
コンデンサは茶系の色で、表面には刻印がない場合があります。
刻印がある場合は pF が単位の基準となります。
(107 = 107 pF = 100 uF、107D = 100 uF 誤差 0.5%)
代表的な部品サイズを表と図で紹介します。素人の私の腕(眼)でも取り扱いが出来る大きさで、基板上で大きすぎないサイズです。
規格の数字は4桁で、最初の2桁が長さ、後ろの2桁が幅を表しているので慣れれば大きさのイメージは付きやすいと思います。
SMD 部品のサイズはインチ又は mm で表します。
通常はインチが先で mm が後ですね。(インチを「正式採用」している国は1つしかないのにナゼ?)
どちらも数字4桁で紛らわしいので、JIS 規格として表す場合は末尾に「M」を付けます。(記載例:0603M)
インチと mm を併記する時は「インチ(mm)」と mm 側の数字をカッコ表記で表します。(記載例:1206(3216))
EIA規格 インチ | JIS規格 mm | 長さ mm | 幅 mm |
0201 | 0603 | 0.6 | 0.3 |
0402 | 1005 | 1.0 | 0.5 |
0603 | 1608 | 1.6 | 0.8 |
0805 | 2012 | 2.0 | 1.25 |
1206 | 3216 | 3.2 | 1.6 |

ダイオード
ほとんどの SMD ダイオードは、SOD(Small Outline Diode)という規格で作られています。
SOD の部品は、黒い長方形のパッケージに幅の短い端子が2本横に出ています。(幅が狭いので半田付けが少し難しいです。)
下図では黒くて良く見えませんが、横線が入っている方が通常はカソードです。(取り付ける前にデータシートを確認しましょう。>自分)

SOD は他と異なり数字が大きいほどサイズは小さくなります。(サイズは端子を含んだ最大値)
規格 | 長さ mm | 幅 mm |
SOD-123 | 3.9 | 1.8 |
SOD-323 | 2.7 | 1.4 |
SOD-523 | 1.7 | 0.8 |
SOD-723 | 1.5 | 0.6 |
SOD-882 SOD-923 SOD-963 | 1.0 | 0.6 |
SOD-962 | 0.6 | 0.3 |

LED
LED もダイオードの1種ですが、通常のダイオードとパッケージが異なるので別項目にしました。
LED の規格は、抵抗やコンデンサと同じように長さと幅を表す4桁の数字で表します。
放熱と電流量の関係で「1005」(1.0 mm x 0.5 mm)より小さなものは少ないようです。
(代表的な LED のサイズ)
規格 | 長さ mm | 幅 mm |
5630 | 5.6 | 3.0 |
5050 | 5.0 | 5.0 |
3528 | 3.5 | 2.8 |
3216 | 3.2 | 1.6 |
3020 | 3.0 | 2.0 |
2012 | 2.0 | 1.2 |
1608 | 1.6 | 0.8 |
1005 | 1.0 | 0.5 |
横長の LED の裏面には、極性を表す表示が刻印されています。
正方形に近いタイプは表面から見える切り欠きがカソードですが、一部違う物もあるので確認が必要です。

インダクタ(コイル)
インダクタはリード付きしか使ったことが有りませんでしたが、今まで使うことは少なかった SMD の物が増えています。
インダクタは、抵抗などと違って丸型や正方形の物が多いです。
大型の部品と同様に巻き線が見えるものと積層型、半導体と同じ製法の薄膜型があります。
(薄膜型のサイズは抵抗と同じものが多い。)
インダクタは薄膜型以外は「○mm X ○mm」などと書かれた物が多いのでサイズの記載はやめました。
表面の刻印は uH を基準とした英数字3桁が多いようです。(計算は抵抗と同じですね。)
(記載例)
刻印 | 値(uH) |
100 | 10 |
3R3 | 3.3 |
2R2 | 2.2 |
R47 | 0.47 |
SMD インダクタの例

トランジスタなど
表面実装用の小型トランジスタは SOT(Small Outline Transistor)と呼ばれる3ピン(4、5、6ピンもあり)のパッケージです。(一部のダイオードや IC にも採用されています。)
規格の数字は抵抗やコンデンサと違って法則性がよく分かりません。
代表的なサイズを表にしました。
規格 | 横mm | 縦mm |
SOT-523 | 1.6 | 1.6 |
SOT-323 | 2.0 | 2,1 |
SOT-23 | 2.9 | 2.8 |
SOT-89 | 4.5 | 4.0 |
SOT-223 | 6.6 | 7.0 |
比較できるように並べて図解しました。
(下図は他の図と縮尺が異なり 1/2 サイズです。)

ピン番号や端子の役割(ベース、コレクタなど)は製品ごとに異なります。
IC など
IC などの半導体部品は色々な種類があり、形状が異なります。
簡単に分類すると端子の付き方で分かれます。(挿入式の DIP,ZIP,SIP,PGA を除きます。 )
・端子が両側に出ているもの
SOJ:Small Outline J-leaded package 端子が内側に丸まった物
SON:Small Outline Non-leaded package 端子がパッケージから出ていない物
SOP:Small Outline Package よく見る小型 IC
・端子が4方向に出ているもの
QFJ:Quad Flat J-leaded package 端子が内側に丸まった物
QFN:Quad Flat Non-leaded package 端子がパッケージから出ていない物
QFP:Quad Flat Package SOP の4側面版
・端子がパッケージの裏に並んだもの
BGA:Ball Grid Array 底面に配線用のボールが格子状に配置されたもの
LGA:Land Grid Array 底面に格子状の端子が並び通常はソケットで実装する。
IC のサイズ比較の図には、代表的な SOP の8ピンを図にしました。

オシレータ
スイッチやコネクタなどの部品も SMD 化されていますが、数が多くなりすぎるので今回は省きます。
一覧に入れておく最後はオシレータです。
以前のオシレータの定番サイズは DIP 14ピンか8ピンサイズでした。
現在流通しているオシレータのサイズはこんなものでしょう。
規格 | 横mm | 縦mm |
3225 | 32 | 25 |
5032 | 50 | 32 |
7050 | 70 | 50 |
下図は他の図と縮尺が異なり 1/2 サイズです。
図は裏から見た状態です。

SMD オシレータを調べてみたら、このサイズには3種類ありました。
1 電圧で周波数が微調整できるもの
2 アクティブ(自己発振するもの)
3 パッシブ(クリスタルのみ)
足の配置は DIP 8ピンと互換性があるようです。

これらの電子部品の製造は(一時期はほとんど)日本で行われていましたが、先人の努力で規格が統一されたのではないかと思うと感慨深いですね。
コメント