単位記号

単位記号は、ISO31(JIS Z 8202)で細かく決められています。
その内容を、毎回調べるのが面倒なので忘備録としてまとめておきます。
(適宜、訂正・追加・削除を行います。)
「SE単位以外の単位」を追記しました。

単位の書き方

1 単位記号は、大文字と小文字の使用が厳密に規定されている。
2 単位記号はローマン体(立体、斜体ではない)
2 単位名称が人名に由来する単位は、1文字目が大文字
3 メガより大きい記号は大文字
4 リットルは小文字のlでも大文字のLでも良い
5 それ以外の単位は、全て小文字

例としてよく出てくるのは、1000を意味する”k”小文字、単位のケルビンは大文字の”K”
正しい:kHz(1つ目は小文字の”k”、2つ目は大文字の”H”、3つ目は小文字の”z”)

数値の表し方と接頭語

1 数値はローマン体(立体、斜体ではない)
2 小数点は下付きのコンマ”,”またはピリオド”.”のいずれか
3 大きい桁の数値は、読み取りを容易にするために、3桁ごとに分けて表示することができる。
4 グループ分けは、” “で行い、コンマやピリオドは使用してはならない。
5 1未満の数値には、小数点の前に0(ゼロ)を置く。
6 数値の乗算の記号は”×”または”・”を使用する。
7 乗算の記号に”・”を使用したら小数点の記号は”,”
8 小数点の記号を”.”にする場合は、乗算の記号は”×”
9 量や数値を表している記号は、イタリック体(斜体)(例:”n“など)
10 数値と単位記号の間には間隔” “を空ける。(例:10 kHz、10 ℃)
11 ただし、平面角の単位の度・分・秒の単位記号(°, ’,”)は、間隔を空けない。

大きな数値や小さな数値を表すための接尾語を使用できる。
(クエタ Q 1030, ロナ R 1027, ロント r 10-27, クエクト q 10-30は省略)
(マイクロ(μ)は、英小文字の”u”で表すことが出来る。)

数値記号読み方定数
1 000 000 000 000 000 000 000 000Yヨタ1024
1 000 000 000 000 000 000 000Zゼタ1021
1 000 000 000 000 000 000Eエクサ1018
1 000 000 000 000 000Pペタ1015
1 000 000 000 000Tテラ1012
1 000 000 000Gギガ109
1 000 000Mメガ106
1 000kキロ103
100hヘクト102
10daデカ101
1/10dデシ10-1
1/100cセンチ10-2
1/1 000mミリ10-3
1/1 000 000μマイクロ10-6
1/1 000 000 000nナノ10-9
1/1 000 000 000 000pピコ10-12
1/1 000 000 000 000 000fフェムト10-15
1/1 000 000 000 000 000 000aアト10-18
1/1 000 000 000 000 000 000 000zゼプト10-21
1/1 000 000 000 000 000 000 000 000yヨクト10-24
数値の接頭語

基本単位

7つの基本単位は次の順番とおりに、2019年に変更されました。
地球の距離だったメートル、水の質量だったキログラム、水の温度だったケルビン、ロウソクの光度だったカンデラなどは、正確さを求めたら難しい定義になりました。

物理量 単位記号定義
時間sセシウムの超微細遷移周波数の9 192 631 770倍に等しい時間
長さメートルm真空中で光が1秒間の299 792 458 分の1の時間に進む長さ
質量キログラムkgプランク定数を6.626 070 15×10−34 ジュール秒とする質量
電流アンペアA電気素量を1.602 176 634×10−19 クーロンとして定まる電流
熱力学温度ケルビンKボルツマン定数を1.380 649×10−23 ジュール毎ケルビンとして定まる温度
物質量モルMol6.022 140 76×1023(アボガドロ数)の要素粒子で構成された系の物質量
光度カンデラcd周波数 540テラヘルツの単色放射を放出し、所定の方向におけるその放射強度が 1/683ワット毎ステラジアンである光源の、その方向における光度

その他

SI単位で定めがないが、常用されていて欠かせないために併用できる非SI単位は、以下の8種類あります。
ここで、よく間違われるのはリットルです。SI単位で書く場合には、「ℓ」は誤りです。大文字の「L」か小文字の「l」を使います。(小文字のlは数字の1と紛らわしいので、大文字のLの使用が推奨されています。)

名称記号Si単位での値
min1 min = 60 s
h1 h = 3 600 s
d1 d = 86 400 s
°1° = (π/180) rad
1 ’ = (π/10 800) rad
1 ” = (π/648 000) rad
リットルl, L1 L = 103 m3
トンt1 t = 103 kg

dB単位

倍率表現に使用されるデシベル関連の単位の表記です。
なお、これ以降はISO31(JIS Z 8202)に記載の内容ではありません。

dB
この場合、”B”ベルが有名なグラハム・ベルさんの名前から来ているので大文字です。
接頭記号の”d”デシは、”10-1“を表すので小文字です。
ちなみに、dBだけでは絶対値は表せません。

dBW
“W”はジェームズ・ワットさんの名前由来なので大文字です。
1 W を基準量とした電力のレベル表現として使われます (0 dBW = 1 W)。

dBm、dB(mW)
1 mW を基準量とした電力のレベルです (0 dBm = 1 mW = 10-3 W)。
(音響の分野で、間違って電圧に用いることがあるようです。)

ややこしい例です。
dBV
“V”はアレッサンドロ・ボルタさんから付いているので大文字です。
1 Vを基準量とした電圧のレベルです (0 dBV = 1 V)。
民生用音響機器は、-10 dBV を「コンシューマー・レベル」と呼びます。RF電力の0 dBmのような基準値ですね。RCAジャックで音声をやり取りする際はこれを使います。

RCAジャック

dBv
音響機器などで用いる0.775 Vを基準量とした、インピーダンス600Ω機器用のレベルです(0 dBv = 0.775 V)。
この場合は、電圧を基準としているのに小文字の理由が現時点では分かりませんでした。
良くdBVと間違うので、dBuと表記します。(末尾の”u”マイクロではなくてunterminated(未終端)の略らしいのですが、600Ωで終端した場合はなんて呼ぶのでしょうか?NHKだけはdBsと表記するそうです。)
業務機用音響機器では、+4 dBu を「スタジオ・レベル」と呼びます。
レコーディング用のTRSケーブルを使う際はこちらを使います。

TRSケーブル

音響の関係でdBmをdBv(dBu)と勘違いして、「0 dBm = 0.775V」(間違い!)としている例が多いようです。
計算するには、dBVに約2.2を加えるとdBuになります。(1 dBV + 2.2 ≈ 1 dBu)

SE単位以外の単位

SI単位以外で「計量法」で定まっているものです。
その中で、「用途を限定する非SI単位」をまとめました。

カラット(ct)

宝石の重さを計るための単位です。(一部書籍で解説している「car」は計量法に記載がありません。間違いだと思われます。)
1 ct = 0.2 g
ダイヤモンド 1 ct の体積は、水1滴と同量だそうです。

なお、宝石用の分量単位としてポイントがあるそうですが、計量法の記載には見当たりませんでした。
1 ポイント = 0.001 ct

金の純度の単位も「カラット」(単位はK)ですが、これも計量法にありません。
24 K = 100%の金の純度、 1 K = 約4.17%の金の純度

もんめ(匁, mom)

真珠の重さを測るための単位です。
1 mom = 3.75 g

中国(中華人民共和国にあらず。)起源の尺貫法の単位で、「開元通宝」(穴の空いた貨幣)の質量です。同じ穴の空いた現在の5円玉も、重さは同じ1 mom、3.75 gです。

カロリー

熱量のSI単位はジュール(J)ですが、人や動物が接種する熱量を表す単位です。
1 cal = 4.184 J

大カロリー

ところで、輸入品の食品表示でずっと気になっていたのが、カロリーの数値でした。
日本で売っている食品のカロリーと比べて、明らかに低い(千分の1)のです。
調べてみると「大カロリー」というのがありました。(これも計量法に記載はありません。)
1 Cal(大カロリー) = 1000 cal
頭が大文字だと、千倍違うようです。(日本の栄養関連業界でも使用するようなので気をつけます。)

おまけ

以下は電子部品の参考用で、SI記号と一部無関係です。

コンデンサの変換表
1 μF = 1000 nF
1 nF = 0.001 uF

コンデンサの表記
225 = 22 ☓ 105 pF =22 ☓ 105 ☓ 10-12 F = 2.2μF
102 = 10 ☓ 102 pF = 1 000 pF = 0.001 μF

抵抗の表記
153 = 15 kΩ
5R1 = 5.1 Ω
1L5 = 1.5 mΩ
50U = 50 μΩ

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