USB PDで電源アダプタの整理

早いもので、今年も1月が終わろうとしています。
昨年の暮に、床や水回り、窓などの大掃除はしました。
でも、趣味の部屋は、なかなか片付きません。(多少の自己嫌悪)

Arduino UNO R4の話題が続いたので、これから、自分でやる気を出すためにも整理・整頓の内容をブログに書き残します。

現状把握

「ラボ」と呼んでいる作業部屋には色々と雑多な物の収納のために壁面書庫が入っています。
これのおかげで扉を閉めれば、部屋はきれいに見えるようにしています。
(たまの来客の際には客室になります。)

壁面書庫の一番上には、普段使わないジャンク品や軽いものを入れています。
中央の棚には、普段使いの部品や工具があります。
そして、最下段には重たいものが入っています。

と言っても、現在の住まいに引っ越しの際に壁面書庫を導入して、かさばるジャンク計測器や重たいトランス類などの在庫は処分したので、収納は全然余裕のはずでした。
(下図は、壁面書庫のイメージ(実際には、さらに上段の収納があります。))

しかし、最近になって物が増えてきて、入れる場所に困る物が出てきました。
何とかしなければ、それ、やってみよう!

電源アダプタ

今回は、電源アダプタを片付けます。

現状は、無差別にプラの箱に入っています。
(写真を撮るために整理しています。他にもあります。)

3 V、3.3 V、5 V、8 V、9 V、10 V、12 V、15 V、16 V、19 V、20 Vなどなどの電圧に加えて、色々な用途ごとに端子の種類も違うので、簡単には捨てられません。

変換プラグ

そういえば、以前(10年以上前?)、変換アダプタとケーブルを自作しました。
当時は関東地方に住んでいたので、秋葉原で色々な種類の電源端子を購入して作りました。

作った時には、わかりやすいように一覧表をケーブルに付けたのですが、今となってはどれがどの端子なのかわかりません。
また、アマチュアとはいえ反対側は使ってはいけない端子でつないでいますね。

今では、AmazonやAliexpressで良いものが売っています。
34種類DCプラグのセットです。(購入品には、電圧切り替え式の電源が付属していました。)

それぞれの端子の反対側は、一番良く見るタイプのDCプラグ(外形5.5 mm、内径2.1 mm)に統一されています。
個別の種類は、販売店のデータではこの様になっています。(10年以上前にコレがあれば・・・)
(「Tuning Fork(音叉型)」って何だろう?)

No.形式色など用途
1Lenovo square Tip黄色Lenovoノートパソコン
24.5*3.0 mm青色HPノートパソコン
37.9*5.5 mm黄色IBM Thinkpad
47.4*5.0 mm黒色Dell, HP Compaq Pavilion
54-hole Toshiba Tip黒色東芝ノートパソコン
63-hole Dell Tip黒色Dellノートパソコン
76.3*3.0mm DC緑色東芝 Satellite, Lenovo IdeaCentre
85.5*2.5mm Tuning Fork黒色ASUS, Toshiba, HP, MSI, IBM, Panasonic, Lenovo
95.5*2.1mm Tuning Fork黒色HP, Sega
105.5*1.9mm DC黒色Asusノートパソコン
115.5*1.5mm DC黒色汎用
125.0*2.5mm DC黒色汎用
135.0*2.1mm DC黒色汎用
144.0*1.35 Tuning Fork黒色Asus Zenbook
156.0*1.4mm Core pin黒色Samsung, Fujitsu, Sony
166.3*3.0mm Tuning Fork緑色Toshiba, Lenovo
175.5*2.5mm DC白色Lenovo, Asus, Acer, MSI, BenQ, Toshiba, IBM, Gateway, Haier
185.5*2.1mm DC青色Acer, Toshiba, HP
195.5*1.7mm Tuning Fork黄色Hasee, Acer, Lenovo, Asus, BenQ, Toshiba
205.0*1.1mm Core Pin黄色汎用
214.8*1.7mm Tuning Fork黄色HP Pavilion, Sony, Asus Eee, NEC, Delta, Compaq
224.0*1.7mm Tuning Fork黄色Asus, BenQ, acer, SonyPSP, HP(mini), GPS Navigator
233.5*1.35mm DC赤色Fujitsu, Dell, Sharp
243.0*1.1mm DC黒色Samsung
255.5*2.5mm Tuning Fork黄色Lenovo, Asus, Acer, MSI, Toshiba, IBM
265.5*2.5mm DC黒色Lenovo, Asus, Acer, MSI, BenQ, HEDY, Toshiba, IBM, Gateway, Haier
275.5*1.5mm DC黒色汎用
285.5*1.7mm Tuning Fork黄色Gateway, Acer, Delta
294.8*1.7mm J-CAM黒色HP, Asus, lenovo, NEC, Delta, Compaq
303.5mm Mono音声用ラジオなど
312.5mm Mono音声用汎用
322.5*0.7mm Tuning Fork黄色Dell, Samsung, Sharp, Android タブレット
332.35*0.8mm Tuning Fork黄色汎用
342.0*0.5mm Tuning Fork黒色汎用

USBの種類とUSB PD

USBは、パソコンのレガシーポート(プリンタやキーボードなどの接続用)を置き換えるためにNEC、IBM、インテル、マイクロソフトなどが1974年に開発し、1976年にUSB 1.0として規格化されました。

日本国内でUSBは、Windowsの販売拡大やNECのPC-9821などで採用されることで普及しました。(もちろんMacも採用しています。)
その後、USB 2.0(2000年、高速化)、USB 3.0(2008年、さらなる高速化と青コネクタ)と規格が拡張されて現在に至っています。
ちなみに、2014年頃までのパソコンのUSBポートに青コネクタ(USB 3.0)が最大で2個しか付いていないのは、当時のコントローラICの制限だそうです。(知らなかった。)

小型で裏表のない「USB Type-C」は、2014年にUSB 3.1規格が出来た時に誕生しています。
(私は勘違いしていましたが、「USB Type-C」形状で動作はUSB 1.0や2.0もありなのですね。)

USB4は2019年に規格化された最新のUSBです。
コネクタは、USB Type-CのみでUSB 1.0~USB 3.0と違って「USB」と「4」のバージョンを表す数字の間の空白がなくなり、小数点以下のバージョンも廃止になりました。(ややこしい!)

さて、今回取り上げた給電のメインとなるUSB PDは、USB端子を利用した給電方法の規格です。
USB 3.0の規格の一部として2012年に制定されました。

USB 2.0までは、500 mA、USB 3.0で900 mA、USB Type-Cでは1.5 A(3 A)となった電流の制限ですが、電流を消費するハードディスク・DVDなどのモーターや画像処理装置をUSBでまかなうには足りないために拡張されました。

現在のUSB PD 3.2では、(大まかですが)5 V、9 V、15 V、20 Vに加えて28 V、36 V、48 Vと15 Vから最大電圧までの可変モードが追加されています。
(Universal Serial Bus Power Delivery Specification Revision:3.2, 2023-10)

世界的に普及したUSB規格ですが、沢山の規格ができた上に規格外の製品も多数販売されたために混乱しています。(私だけ?)

規格のロゴも乱立していたため、2021年に統一・改正されました。
今後発売されるUSB機器には、ロゴに付いていた「SuperSpeed」という文字は廃止になったのですが、まだ、一部では古い情報が掲載されています。
ただし、(また、ややこしい。)今後も販売されるUSB 2.0規格の製品には「SuperSpeed」と付くようです。
(出典「USB-IF 認証」)

2012年までの古い情報

OLD LOGO

新しいロゴ

ケーブル用の新しいロゴ

前置きが長くなりましたが、調査結果からUSB PDの電源を使えば、在庫の電源アダプタの在庫整理が出来そうです。

USB PDの電源

USB PDの電源アダプタ

USB PDの電源アダプタは、色々なところで販売されています。

現在では、「百均」でも入手可能です。
ダイソーやセリアでも税抜き700円でUSB PDの電源アダプタが販売されていて評判が良いようです。

今回は、市内のパソコンショップで購入したUSB PDの電源アダプタ(入手当時400円)で検証します。(百均の物と同等に感じます。)

写真では見づらいですが、5 Vで3A、9 Vで2A、12 Vで1.5Aが取れると書いてあります。
多摩電子工業株式会社(「出川哲朗の充電させてもらえませんか?」のスポンサー)という日本の企業で、各種モバイル用電子機器やペット用品まで作っていますが、訪問してみたらHPは独特の操作性です。

トリガ・ボード

この電源アダプタとUSB PDのトリガ・ボードを組み合わせます。
(Arduino UNO R4互換機(「コアボード」)と共にAliexpressで注文しました。)

トリガ・ボードとは、USB PDの電源アダプタにつないで必要な電圧を出力する「変換基板」です。
実験のために、2種類準備しました。
スイッチで出力電圧を切り替えるタイプ(5 V、9 V、12 V、15 Vと20 V出力)と

電源設定は半田付けですが、ケースがついているタイプです。(9 V、12 V、15 Vと20 V出力の種類がありました。)

どちらも、基板上の制御ICを拡大してみてみましたが、詳細はわかりませんでした。

届いてわかったのですが、ケース付きの方は、ケースと言っても黒いアルミ製の筒が付いているだけで固定も何も出来ません。(ボードを中に入れても傾けると出てきます。絶縁もされていません。どうやって固定しよう?)

さて、つないで実験しようとして、失敗に気づきました。

USB PDの電源アダプタにトリガーボードをつなぎ、その先にDCプラグ(外形5.5 mm、内径2.1 mm)を付けようと思っていたのですが、電源アダプタもトリガーボードもどちらもメスじゃあないですか。

次に買うときは、USB端子に気をつけてオスのトリガボードを買います。

Type-Cケーブル(電源供給用)

しかたがないので、USB Type-Cのケーブルも準備します。

1つ目は、信号線のない電源供給用のケーブルです。
長さは、約1mでコネクタに「PD」の刻印があります。(確かセリアで購入)

Type-Cケーブル(USB 2.0)

2つ目は、USB 2.0相当の信号線も結線されたケーブルです。
これも長さ、約1mです。(多分ダイソーで購入)

Type-Cケーブル(USB 3)

3つ目の準備した最後のケーブルは、USB 3の信号線を含むデータケーブル(外付SSDケース付属)です。
長さは、約25cmですが固くて短いです。

これらの3種類で違いがあるかを見てみます。
(このUSBケーブル・テスタ(ADUSBCIM USB CABLE CHECKER 2)は大変便利です。一家に一台!おすすめです。)

トリガボードの機能確認

トリガボードは出力にUSB PD 3.0の5 V、9 V、12V、15 V、20Vが選べますが、残念ながら電源アダプタ側が出せる電圧しか出せません。
今回用意できた電源アダプタは、5 V、9 Vと12Vしか出せないので、その電圧で確認を行います。
(雑誌や他のブログで間違った記載を見かけますが、ダイソーとセリアの物も同じ電圧しか出せません。)

試験前に使用する機材を確認します。
デジタル・マルチメータ(SANWA CD-751)は、中古のジャン測なので、せめて使う前に自作の標準機で確認します。
(校正が出来る精度のものではありません。)

Pa-Lab3号機の自作 電圧・電流・抵抗標準機です。

一応、標準機の5 V端子を計ってみたら4.98 Vを、10 V端子を計って10.01 Vを示したので、デジタル・マルチメータの示す電圧はおおよそ信用できそうです。

USB PDの電源アダプタにType-Cケーブルでトリガボードをつなぎ、出力電圧はデジタル・マルチメータで観察しながら、自作の負荷試験装置で負荷をかけてみました。

自作の負荷試験装置

5 V給電

最初に、スイッチ切り替え式のトリガボードで、5 Vに設定した状態です。

青点が「外付SSDケース付属Type-Cケーブル」
オレンジが「USB 2.0相当のType-Cケーブル」
灰色が「電源用Type-Cケーブル」
(黄色の点は 5 V を示しています。)

9 V給電

次に、スイッチで9 Vに切り替えます。
(黄色の点は 9 V を示しています。)

12 V給電

続いて、12 Vで見てみます。
(黄色の点は 12 V を示しています。)

トリガボードによる違い

最後に、12 Vの状態でトリガボードを交換してみました。
青点が切り替え式のトリガボード
オレンジがケース付きのトリガボード
(灰色の点は 12 V を示しています。)

評価

実際に試験をする前は、トリガボードに使用するType-Cケーブルの長さで出力電圧に違いが出るとは思いませんでした。
また、信号線のない電源用のType-Cケーブルでは、電源アダプタと通信できずに電圧が取れ出せないのでは?と考えていましたが違いました。

結果的には、通常のアナログ回路と同じで短いケーブルがより良い値を出しました。
定格電圧にこだわるならば、長いケーブルは使うべきでは無いようです。

USB PDを給電に使うなら、電源用のUSBケーブルを使い、短いものが良さそうです。
次回は、(入手できれば)オス・コネクタのトリガボードを直差しして実験します。
また、Type-Cのオス-オスのコネクタが入手できれば、その比較の結果も見てみたいですね。

負荷は、電源アダプタに記載している各電圧の上限 +0.5 Aまで試しましたが、5 Vは3.5 A(+0.5)まで、9 Vは2.3 A(+0.3)まで、12 Vは1.8 A(+0.3)まで動作しました。
これは、トリガボードの上限(5 A)以下なので、電源アダプタ側の制限が効いているのだと思われます。

なお、3 Aを出力しても電源アダプタは若干暖かかくなりましたが、トリガボードや配線の温度変化(触ってわかるほど)はありませんでした。

オシロスコープの写真がありませんが、ノイズも思ったよりは少ないので、十分に今在庫で持っている電源アダプタの替わりになりそうです。
(結局、USB PDの資材が増えただけで、今までの電源アダプタと自作の変換コネクタは、まだ捨てられないことは内緒です。)

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