オシロスコープ バージョンアップ 2025

昨年(2024年)に発売された、12ビット最新型デジタル・オシロスコープ SDS804X HD を愛用しています。
SIGLENT 社の低価格帯の商品ですが、OEM 先に Teledyne LeCroy 社があることから分かるように、基本性能はしっかりしていると思います。(まだ、色々な機能が使えていませんが、アナログ・オシロスコープを使ったことがある方なら、スイスイと使えます。)

販売店の HP より引用

使用していた中古のオシロスコープが故障したので、色々なオシロスコープの中から悩みながら Siglent 社の「SDS804X HD」を選んだ細かな過程は下の記事をご覧ください。

ファームウエア

SIGLENT SDS804X HD の最新のファームウエアは SIGLENT 日本法人 HP 内の「サービスとサポート」の「ファームウエア」にあります。

ブログで紹介した「オシロスコープ SDS804X HD の導入編」の記事では、2024年末時点で公開されていたファームウエアは、「1.1.3.3」、「1.1.3.6」と「1.1.3.8」だったので「1.1.3.8」にバージョンアップするやり方を紹介しました。

それから半年弱ですが、久々に販売店の HP を見てみると、新しいファームウエアが公開されていました。
現時点(2025.5月末)で公開されているのは、上記に加えて「1.1.6.2」と「1.1.6.5」でした。

発売から1年少々で5つの更新がされたことになります。
これほど、積極的にユーザーサポートをしてくれるメーカの商品なら、購入後も安心して使用できますね。
(同価格帯で販売されている他社のオシロスコープのアップグレードも見てみましたが、ほとんどが1~2個程度しかアップデートファイルは見つかりませんでした。)

ちなみに、 SDS800X HD 用ファームウエアのそれぞれの改修内容です。(英語の説明を簡易和訳しました。)
ユーザの要望に応えて、操作性などの細かな修正も行われていますね。

Ver.修正内容
1.1.3.31 ボード線図で SDG1000 を制御できない問題を解決
2 再起動後にユーザープローブ係数が復元されない問題を解決
3 画面がマルチタッチをサポートしていない問題を解決
1.1.3.61 トリガホールドオフが失敗する問題を解決
2 CAN デコードが低確率でクラッシュを引き起こす問題を解決
3 カーネルを修正し、Keysight ドライバがインストールされているコンピュータで scpi が使用できない問題を解決
4 高度なトリガ(クオリファイド、N番目のエッジ、遅延、セットアップ/ホールド)パラメータが呼び出されない問題を解決
5 遅延トリガレベルの設定エラーの問題を解決
6 エッジが交互設定になっている場合、他のトリガタイプを入力するとトリガジッタが発生する問題を解決
7 いくつかの既知の問題を解決
8 波形キャプチャレートを最適化
9 セルフキャリブレーション速度を最適化
10 UIを最適化
1.1.3.81 UI を最適化し、「on/off」を「On/Off」に変更
2 IP アドレスの先頭バイトに 200 ~ 223 の数字が入力できない問題を解決
3 FG および LA のソフトウェア機能を標準化
1.1.6.21 ロール停止後のデコードをサポート
2 デコードヒステリシスをサポート
3 FFT のブラックマンハリス窓とガウス窓をサポート
4 XY 分割画面表示をサポート
5 チャンネルラベルの移動をサポート
6 測定統計結果の保存をサポート
7 リモート読み取りの高速化(SERVICE->WAV ACC)
8 UIの最適化
a)デフォルトキーへの保存確認ダイアログを追加
b)軸ラベルの余分なゼロを削除
c)横軸ラベルが長すぎる場合、上下に表示される
d)小文字の「u」の代わりに実数の「µ」を使用する
9 いくつかのバグを修正
a)ビープ音を有効にすると、物理ボタンはエンコーダの最初の動きのみビープ音を鳴らす
b)プローブが1倍ではなく、垂直基準がオフセットの場合、垂直スケールを変更するとズーム領域が不適切になる
c)NTP同期時間後、履歴リストの時間が不適切になる
d)ポイントが10M以上の場合、FFTに不適切なスプリアス信号が発生
1.1.6.51 いくつかのバグを修正
a) DHCPに設定し、DHCPサーバーなしでLANに接続すると、スコープが起動しない問題を修正
b) 「Acquiring(取得中)」のプログレスバーが、以前の100ms/divではなく1ms/divで表示される問題を修正
c) 帯域幅制限の警告を削除
d) FFTを1kHz~6kHzなどの特定の周波数帯域に設定すると、意味のない軸ラベルが表示される(スイープモードは対数に設定)。

バージョンアップ

それでは、早速、最新版にバージョンアップします。
最新の物だけを更新しても問題ないとは思いますが、一応、1つずつ行います。

画面左上の「Utility」を押し「System info」を押すとオシロスコープのバージョンが確認できます。
現在のオシロスコープのバージョンは 1.1.3.8 です。

落としてきたファイル「SDS800X_HD_V1.1.6.2_EN.zip」を解凍した物(SDS800X-HD_1.1.6.2.ADS)を、中身が消えても良い USB メモリの一番上の階層に入れます。
この USB メモリをオシロスコープ正面下部分(又は裏側)の USB ポートに差し込みます。

Utility > Menu > Maintenance > Upgrade の順にメニューを表示させて USB メモリ内のファイルを選択します。

ところで、こんな感じでファイル一覧が表示されますが、私の操作が悪いのかパソコンのようにファイル名をダブルクリックしても選択されませんでした。
右下の「リコール」を押すとファイルが選択されます。

1つ目のファイルは写真を撮り忘れたので、2つ目のファイル名が表示されていますが気にしないでください。:)
「Upgrade」をクリックしてアップグレードを行います。(90%ぐらいで停止したりして、処理には多少時間がかかります。)

正常にアップグレードが終了すると、下の画面が表示されます。
「リブート」を押して再起動します。
(リブートの横の数字が減ってゆくので、そのまま放置しても再起動されるのかな?)

自己キャリブレーション

再起動後に、念のために「自己キャリブレーション」を行っておきます。
自己キャリブレーションは、電源を入れて最低でも30分経過後に行います。

Utility > Menu > Maintenance > Self Calibration の順にメニューを表示させます。
接続されているプローブなどは全て外しておきます。

下の画面で「Continue」を押して自己キャリブレーションを行います。
(間違ってこの画面を選んだ場合は、「Cancel」を押すと中止します。)

マニュアルより引用

これで、最新版にバージョンアップが完了しました。
ソフトウエア・バージョンを確認すると、無事「1.1.6.5」に更新されました。

コメント