前回、Arduino UNO R4の「互換機」を取りまとめた記事で、唯一、詳細の分からなかった、ジャパンマイコンカーラリー用「RMC-RA4M1」の細部が少しずつ分かってきたので記事にしました。
(11種類のArduino UNO R4として使える(であろう)ルネサス社の「RA4M1」を搭載したボードの記事は、以下をクリック。)
「RMC-RA4M1」は、数少ない(文字だけの)資料を見た時に、やたらと入出力端子が多いので誤情報だと思っていました。
ところが詳細が分かると、Arduino UNO R4は64ピンの「RA4M1」を使っていますが、「RMC-RA4M1」はマイコンカーの制御のために、100ピンの「RA4M1」を使っていました。
2024年3月7日に、RMC-RA4M1(rev.2.0)の販売が販売になりました。
2024年10月1日までは、販売価格が\3,520(10個パックは\33,000)です。
販売元は、「日立ドキュメントソリューションズ」社です。
こちらのHPの記載では、以前のバージョン(rev.1)と現行バージョン(rev.2)は、ハードウエア的に別物で互換性はないようです。
(rev.1は2023年度のマイコンカー技術講習会で配布されたバージョンで、市販はされなかったようです。rev.2.0とはポート配置が異なります。)
HPに書かれている製品仕様
- CPU: ルネサスエレクトロニクス製 RA4M1(R7FA4M1AB3CFP(日立のHPには「R7FA4M1AB3FP」と書かれていますが、そのような品番はありません。間違いだと思われます。)
Arduino UNO R4の「R7FA4M1AB3CFM」は64ピンですが、「R7FA4M1AB3CFP」は100ピンです。 - 内蔵メモリ Code Flash:256KB、Data Flash:8KB、SRAM:32KB
- 内蔵周辺モジュール セグメントLCDコントローラ(SLCDC)、静電容量式タッチセンシングユニット(CTSU)、USB2.0フルスピードモジュール(USBFS)、14ビットA/Dコンバータ(ADC14)、12ビットD/Aコンバータ(DAC12)、セキュリティ機能、その他
- I/O Arduino UNO 互換コネクタ、10ピンコネクタ×2、20ピンコネクタ×2、microSDコネクタ×1、LED×2ビット、DIPスイッチ×2ビット
- 書き込み USB(TypeC)
- 電源 DC+5V、2ピンコネクタ、バスパワー(※プラスとマイナスの向きに十分注意してください。)
- 動作周波数 最大48MHz
- 基板 68.58mm×53.34mm、両面基板
その他
外部水晶振動子:搭載可能な端子あり
RTCバックアップ端子:なし
外観
今回、販売ページにRMC-RA4M1(rev.2.0)の写真が公開されました。
以前、公開されていたrev.1では半田付けされていた全てのコネクタがなくなりました。USB端子以外は付いていないようです。(コネクタが付属していて、自分で半田付けするのかな?)
表側
コネクタ1、2、10、11は、Arduino UNO R4と同じです。
コネクタ3は、上側のUSBコネクタでArduino UNO R4と同じ用途です。
コネクタ4,8は入出力用の20ピンコネクタです。
コネクタ5は、モータ・ドライブ用の10ピンコネクタです。
(別売の「モータドライブ基板」が接続できます。)
コネクタ6は、2つ目のUSBコネクタで、「Renesas Flash Programmer V3」で書き込む際に使用します。
コネクタ7は、センサ用の10ピンコネクタです。
(別売の「センサ基板」が接続できます。)
コネクタ9は、電源用の2ピンコネクタです。
コネクタの詳細は、写真の後に表にしました。
ディップスイッチは、以下を切り替えます。
1 : P307 – D25
2 : P306 – D26
コネクタ4
ピン番号 | MCUピン | ピン番号 | MCUピン |
1 | +5 V | 2 | P215 |
3 | P214 | 4 | P708 |
5 | P415 | 6 | P414 |
7 | P413 | 8 | P412 |
9 | P411 | 10 | P410 |
11 | P409 | 12 | P408 |
13 | P407 | 14 | P206 |
15 | P200 | 16 | P808 |
17 | P809 | 18 | P300 |
19 | P108 | 20 | GND |
コネクタ8
ピン番号 | MCUピン | ピン番号 | MCUピン |
1 | +5 V | 2 | P013 |
3 | P015 | 4 | P505 |
5 | P504 | 6 | P503 |
7 | P502 | 8 | P501 |
9 | P500 | 10 | P600 |
11 | P601 | 12 | P602 |
13 | P603 | 14 | P610 |
15 | P609 | 16 | P608 |
17 | P115 | 18 | P114 |
19 | P113 | 20 | GND |
コネクタ5
ピン番号 | MCUピン | ピン番号 | MCUピン |
1 | +5 v | 2 | P402 |
3 | P405 | 4 | P406 |
5 | P403 | 6 | P404 |
7 | P401 | 8 | P400 |
9 | P003 | 10 | GND |
コネクタ7
ピン番号 | MCUピン | ピン番号 | MCUピン |
1 | +5 v | 2 | P012 |
3 | P011 | 4 | P010 |
5 | P008 | 6 | P007 |
7 | P006 | 8 | P005 |
9 | P004 | 10 | GND |
これまでに出ていた「RMC-RA4M1(rev.1.0)」の写真
裏側
基板の裏側には「micro SDカード」コネクタが増設されています。
(microSDは、32GB (SDHC)以下で、フォーマット形式は、FATまたはFAT32のみに対応)
もちろん、SDカードをつなぐ回路が搭載されており、簡単にデータの書き込み・読み出しが行えます。
コネクタ12(micro SDカード用)
micro SDカード側 | MCUのピン |
CD/DAT3 | P205 |
CMD | P203 |
CLK | P204 |
DAT0 | P202 |
写真はrev.1のものです。
講評
紹介したマイコンカーラリーのHPでは、個人でも購入可能なようですが、色々な手数料や送料がかかるようなので入手については、まだ考えています。
でも、標準でこれだけの入出力があれば、本来のメカ制御には便利で、ロボットも動かせますね。
ロボット制御には「ROS」(Robot Operating System)が有名ですが、入出力端子数が少ないのでArduino UNOでの制御はテスト用途以外では難しく、Arduino Megaで動かしている例を見ました。
(一部で有名なロボット制御OSと言えば「篠原重工のHOS」ですね。)
この「RMC-RA4M1」なら、多数の入出力端子がありMCUもスピードアップしているので、趣味のロボット制御に最適ではないでしょうか?
他にも、個人でArduino UNO R4で使用している「64-LFQFP」の細かなICのピンを延長して(私には絶対無理)、カラーのLCDディスプレイを制御してJPEG画像をSDカードから読み込んで高速表示している方も見かけたので、そういった実験にも使えると思うと、購入を大変迷っているところです。
追記
上で紹介したUNO R4の改造記事は、「小倉 キャッスル 一馬」さんの「Arduino UNO R4 MINIMAマイコンボード改造」をご覧ください。
I/Oポートを45個に拡張して、レジスタ直接制御で、高速にSDカード内のJPEGデータをカラーLCDに表示しています。
(すごい技術です!)
互換機などの一覧表
前回紹介した「RA4M1」の搭載されたボード類の一覧表の内、「RMC-RA4M1」の項目を更新しました。
ボード名 | UNOファーム | 外部クロック | RTCバックアップ端子 | その他の機能 | 価格 | 概略サイズ |
Arduino UNO R4 Minima | ◯ | ✕ | ✕ | 約3,200円 | 68.85 mm x 53.34 mm | |
Arduino UNO R4 WiFi | ◯ | ✕ | ◯ | 約4,700円 | 68.85 mm x 53.34 mm | |
Minima 互換機 | ◯ | ✕ | ✕ | 約1,200円 | 70mm x 54 mm | |
Wifi 互換機 | ◯ | ✕ | ◯ | 約2,000円 | 70mm x 54 mm | |
CoreBoard | ◯ | ◯ | ◯ | 約1,000円 | 41.6mm x 33.22 mm | |
FLINT ProMicro | ◯ | ✕ | ✕ | 約3,000円 | 35 mm x 18 mm | |
RA4M1 Clicker | △ | ◯ | ◯ | mikro BUS | 約7,000円 | 75 mm × 31 mm |
EK-RA4M1 | △ | ◯ | ◯ | 約7,700円 | 125 mm x 80 mm | |
RA4M1 Nano Board | ◯ | △ | ✕ | 基盤のみ | 3,000円程度 | 45 mm x 18 mm ? |
HSBRA4M1F100 | ? | ◯ | ◯ | 約19,000円 | 90.0 mm × 75.0 mm | |
マイコンカーラリー用 RMC-RA4M1 | ◯ | △ | ✕ | 入出力70以上 | 3,520円 (10/1まで) | 68.58 mm x 53.34 mm |
△:搭載は可能
✕:データシートで無いことが確認できた。
?:分からない
コメント
こんにちは。
こちらのページで取り上げていただいた、小倉キャッスル一馬です。
紹介していただいたRMC-RA4M1を今更ながら私も購入いたしました。
購入方法などこちらの記事に詳しく書かれているので、私のブログの記事にリンクを張って紹介したいと思っております。
まだ記事は書いていないのですが、ここのリンクを張ってもよろしいでしょうか?
よろしくお願いします。
小倉キャッスル一馬さん、コメントありがとうございます。
そちらのブログにリンクを張って頂けるとは光栄です!
是非、ご自由にお使いください。
猛暑の上に、お仕事もお忙しいと思いますが、新しい記事を楽しみに待っています。