完成した「オシロスコープのプリント基板」のお裾分け

Arduino Nano が手元にあれば、手軽な部品で製作できる簡易型オシロスコープの製作記事は、前回の「OLEDオシロスコープ」のノイズを何とかしたい(番外編)で完結しました。
この記事で紹介している専用基板は2か所の不良があったので、パターンカットとジャンパ線で何とか動作確認をすることが出来ました。(単純な私の設計ミスです。はい。)

そこで、「完成品」の基板を目指して、今度こそ最後の「OLEDオシロスコープ」製作記事です。
(多分 3D プリンタでケースを作って記事にする気がしますが・・・)

なお、今回の記事は昨年初頭にブログを初めてから「祝!100記事を超えた記念」として、自作した「OLEDオシロスコープ」基板を「無償」でお裾分けします。(製作者の方々からは了承を頂いています。)

詳細は、記事の最後をご覧ください。

ー「お裾分け」についてー

今回の表題にある「お裾分け」は「他の方から頂いたものを、他の人に分け与える」という「お福分け」の意味で使用しています。
本来の厳密な意味からは、少し離れてしまいますがご了承ください。
(決して言葉本来の「つまらないもの(裾)を分ける、自分には余計なものを他人に分ける」という意味ではありません。)
このブログを始めようと思ったのは、第1回目の記事でも書いている「honkytonk」さんの作製された GPSDO を組み立てることでした。
「honkytonk」さんは、自作された GPSDO の回路図、ファームウエアをブログで公開して頂いているだけではなく、製作したプリント基板も分けて頂き沢山のアドバイスももらう事が出来ました。
おかげさまで、しばらく遠ざかっていた日曜電子工作に戻ってくることが出来ました。

この「honkytonk」さんの GPSDO、そして「ラジオペンチ」さんと「siliconvalley4066」さんの OLEDオシロスコープに関して頂いた数々のものを、電子工作に興味がある方が増えるように「お福分け」できれば良いなぁと思って「オシロスコープのプリント基板のお裾分け」を始めました。

ー2024年9月29日追記ー
プリント基板などの在庫が変わったら、ここに記載します。
・基板残り:9セット
・特殊部品セット残り:9セット

前回の「OLEDオシロスコープ」製作記事は以下を見てください。別窓が開きます。

製作した3種類の OLED オシロスコープ

今回プリント基板を製作したのは、3種類の「OLEDオシロスコープ」です。
それらの機能などの詳細を紹介します。

「ラジオペンチ」さんの V300

最初に紹介するのは「ラジオペンチ」さんが設計・製作された「OLEDオシロスコープ」です。
最終バージョンは V300 です。
「ラジオペンチ」さんの「OLEDオシロスコープ」のまとめ記事は下のリンクをご覧ください。(作り始めから数えて14個の記事があります。)

その性能は Arduino Nano と数個の部品で作ったとは思えないほど高性能で YouTube 上には多数の製作例が見られます。

ー主要性能ー
入力モード:+DC, AC (DCの負電圧は不可)
垂直感度:0.2 ~ 50 V
水平感度:50 us ~ 200 ms
サンプリング周期:8 us (125kHz)
トリガ:50% p-p 自動、スロープ指定可能
その他の機能:波形周波数表示、波形デューティ比表示、ゼロオフセット、マルチメータ、電源電圧表示

画面の表示例はこんな感じです。
画面最上部に「AC/DC」、垂直感度(電圧)、水平感度(時間)、周波数などが、小さい画面を効率的に使って過不足なく表示されます。

1.3 インチの OLED を表示器に使っているので、暗いところでもキレイに波形を見ることが出来ます。
操作性も3ポジションのサムスイッチを使ったので、直感的に操作することが出来ます。

「その他の機能の機能」の操作説明です。

ゼロオフセット:初回の立ち上げで電源電圧の違いなどで波形の中心がゼロではなく、上・下にズレてしまった場合に「Hold」を押した状態で「Select」を押すと、ずれたゼロ位置がこの操作でワンタッチで修正されます。(大変便利!)
値は MCU 内の EEPROM に記憶されるので、1度行えば電源を切っても保持されます。
なお、5 V 以下とそれ以上で設定値が異なるので、電圧を切り替えて設定を2回行う必要があります。

マルチメータ機能:最高測定電圧により起動方法が異なります。
「UP」を押したまま電源 ON:5 V レンジ

「DOWN」を押したまま電源 ON:50 V レンジ

なお、マルチメータ状態で「AC/DC」スイッチを切り替えると AC/DC が切り替わります。
(AC に切り替えると電圧だけではなく、実効値(rms)が合わせて表示されます。)

電源電圧表示:「SELECT」を押したまま電源 ON で、電池の電圧を表示できます。

これらの機能は、電源を切ってから普通に電源を入れれば通常のオシロスコープの画面に戻ります。

「siliconvalley4066」さんの V402

「siliconvalley4066」さんが「ラジオペンチ」さんの「OLEDオシロスコープ」を改造された一連の製作記です。「siliconvalley4066」さんの製作記事は、こちらをご覧ください。(別窓が開きます。)

今までに公開されているバージョンは次のとおりです。

V310:「ラジオペンチ」さんの最終バージョン V300 から時間軸を4倍拡大して 20us/div まで表示できるようにし、FFT によるスペクトラム表示機能が追加されています。

V311:校正用パルス信号の発生機能を追加(校正パルスは 75kHz)

V401:九州工業大学大学院情報工学府の「等価時間サンプリング」を採用して「16Msps」という MCU の限界まで、時間軸を拡大しています。
なお、このバージョンからチャタリング対策をソフトウエアで実現しているので、ハードウエアでチャタリング対策用に使用していたダイオードなどが省略されています。

V402:「siliconvalley4066」さんの最終バージョンです。
「V401」で使用していたスイッチ割り当てなどを変更して、操作性を改善したバージョンです。

ー追加された主要性能ー
水平感度拡張:20us/div(25samples/div)
FFTによるスペクトラム表示
校正用パルス信号
等価時間サンプリング:~ 16Msps

追加機能の「校正用パルス信号」と「等価時間サンプリング」機能は、常時駆動しています。
「FFTによるスペクトラム表示」機能を使うには、「SELECT」で「AC/DC」に移動して「UP」か「DOWN」で切り替えます。
FFT に切り替わると、画面表示がオシロスコープと違うのですぐに分かりますが、「AC/DC」の所が「FF」と表示されます。

基板の製作例はこんな感じです。
機能は追加されていますがダイオードなどが省略されたので、基板上の部品は少なくなりスッキリした印象の基板になりました。

なお、「siliconvalley4066」さんの V402 は「ラジオペンチ」さんの V300 の機能拡張版なので、その他の機能(ゼロオフセット、マルチメータ、電源電圧表示)はそのまま動作します。

また、細かな点ですが、この「OLEDオシロスコープ」は立ち上げの際のクレジット表示が「ラジオペンチ」さんになってます。
ネット上で海外の方が公開されている製作例は、ここを自分の名前に書き換えていることが多いのですが、これだけの機能を追加・改造してもオリジナルを尊重する姿勢は凄いと思います。

「siliconvalley4066」さんの 2CHオシロスコープ

「siliconvalley4066」さんが新規設計された 2CHオシロスコープです。
オリジナルのアイディアは、大阪教育大学の光永さんの「Arduino でオシロスコープ」のようです。
(この製作記事は、現在は絶番になっているようですが「LilyPad & Arduinoを使ったテクノ・クラフト(マイコンと電子工作 No.4)」という書籍に収録されていたようです。)

公開されているバージョンは「GOscillo120」から始まり、最終バージョンが「GOscillo132」です。
「siliconvalley4066」さんの製作記事は、こちらをご覧ください。(別窓が開きます。)

名前にあるように、OLED を表示装置に使用した Arduino Nano で作られた本格的なオシロスコープです。
今回は、他の「OLEDオシロスコープ」と同じサイズに収めるために1チャンネルで基板化しました。

主要機能の要約は次のとおりです。
あまりに機能が多いので、詳細については「siliconvalley4066」さんのページをご覧ください。細かな機能が解説されています。

ー主要機能ー
・オシロスコープ機能
チャンネル数:2
入力モード: DC、AC
電圧レンジ(volts/div): 1V, 0.5V, 0.2V, 0.1V, 50mV
時間レンジ(time/div): 10s ~ 580us (17ksps)、(1チャンネルのみ) 500us ~ 33us (307ksps)
、62.5us ~ 0.625us (16Msps)(等価時間サンプリング)

・FFT機能:8bits 128 samples(200ms/div以下)

・パルスジェネレータ機能:0.238Hz ~ 8MHz (約5Vpp方形波 Duty ratio可変)

・ファンクションジェネレータ機能: 0.01Hz to 9999.99Hz(実用域は1kHz程度まで) 約5Vpp
8波形: sine, saw, revsaw, triangle, noise, sinc5, trapezoid, chainsaw

とても MCU に Arduino(ATmega328P)を使ったとは思えない高性能ですね。

実際に基板化したものは、こんな感じになりました。

上2つの「OLEDオシロスコープ」では3ポジションのサム・スイッチを使っていましたが、この「OLEDオシロスコープ」は、インターフェースが上・下・左・右に変更になったので3ポジションでは足りません。
そこで、5ポジション・スイッチを使ってみました。
使用した5ポジション・スイッチです。⑥の「Push」を使用しないと、ちょうど上・下・左・右の操作をカバーできます。

なお、このスイッチを取り付けた後に、(後の解説で出てくる)操作の一部に「上・下」や「左・右」キーの同時押しに割り当てている機能がある事に気づきました。
(このスイッチでは、どうやっても同時押しは無理ですね。)

実際に作る際には別個の4つのタクト・スイッチなどを使うか、公開されているスケッチを修正した方が良いでしょう。

操作方法

「2CHオシロスコープ」(実際には1チャンネルですが・・・)の操作方法は、その高性能を実現するために4ページに分かれています。

「UP」または「DOWN」で項目を上下に移動して、最下段(最上段)になると次のページに移動します。
各項目の設定変更は「Right」か「Left」で切り替えます。

なお、周波数カウンタを ON にすると信号発生関係の機能は停止します。

ページ1

ページ2
(CH2 は実装していないので OFF にしています。)

ページ3

ページ4

最終版の基板をオーダー

いつもお世話になっている PCBgogo さんにプリント基板を注文しました。
今回は「最終版」の予定なので、発注前に慎重に確認作業を行ったつもりです。

最終基板の作成方針

前回のグランド対策を強化した基板で、ずっと気になっていたノイズは消すことが出来ました。
しかし、確認不足で大きな不具合が2つありました。

1つ目は、OLED 端子の部分です。
ノイズ対策のために MCU の ATmega328P を180度回転して配置したのですが、OLED の信号端子である「SDA」と「SCL」はそのままの順番でつないでしまいました。
つまり、OLED の 4P 端子は左から「GND」「+5 V」「SCL」「SDA」でなくてはなりませんが、「SDA」「SCL」の順になっていました。
この配線を修正します。

2つ目は、入力端子がグランドに短絡していました。
入力端子のフットプリント(外形データ)は、今回のオシロスコープ用に KiCad で私が独自に作ったものですが、作りが悪くて裏側の端子につながる部分がグランドと短絡していました。
この部分はフットプリント・エディターで修正しました。

追加で、前回のプリント基板に搭載する昇圧基板は大・小2種類を選択してノイズが少ないほうを使う設計でしたが、小さな方の昇圧電源基板でもノイズは抑えられることが分かったので、大きいほうの昇圧基板を除去して小さい昇圧基板専用にしました。
その分の余白に、電源スイッチと電源 LED 等を追加しました。
また、ケースを作る時を考慮して基板右下部分は電池ボックスが食い込んで配置できるように部品配置をずらしました。

基板のオーダー

いつもどおりに夜に基板データが完成しました。
KiCad で作ったデータを Zip で圧縮して製造会社へアップロードします。

PCBgogo さんは、夜間にデータをアップしても2時間程度でデータの確認が終了するので、確認が終わったら支払いを行います。
今回は、支払い前に PCBgogo さんの「Gerber View」機能で、基板に間違いがないか良く確認します。

拡大して確認しましたが、入力端子はグランドから分離していました。
OLED 端子の配線も確認しましたが、問題ありませんでした。

今回は、格安でオーダーできる 10 cm X 10 cm で、10枚の基板を同じデータでもう1組頼みました。
送料は DHL は $24 でしたが前回と同じ ANA グループの OCS なら2組(20枚)でも同じ値段($16)でした。

到着した基板の確認

今回も基板のデータをアップロードして確認が終了したら、担当者から連絡が来ました。
細かな修正を入れて製作の指示を開始してから1日ほどでプリント基板の製造は終了して現地の輸送会社へ渡されました。
翌日には現地の税関を出て、その翌日には日本に到着しました。
今回は、それからが時間がかかり2日間ほど留め置かれていました。
さらに、国内輸送会社(佐川急便)の倉庫に金曜日から月曜日まで留まっていたので、到着には前回の倍ほどの時間がかかりました。(なぜだろう?)

しかし、前回同様に荷姿は問題ありませんでした。
PCBgogo さんの箱に入って無事、北海道の自宅まで届きました。

内部は、10枚の基板が真空パックされたプチプチに包まれて2袋入っていました。
注文どおりです。

中身のプリント基板を確認します。
問題ないですね。
一応、心配だったのでそれぞれの「OLEDオシロスコープ基板」の入力端子とグランド間が短絡していないか確認しましたが問題ありませんでした。
(一番下の右側に見慣れない基板が付いていますが、今のところは秘密です。)

基板の切り出し

発注したプリント基板が無事到着したので、それぞれの基板に切り出します。
(Vカットを入れれば簡単に分割できるのですが、価格が上がってしまうので今回は自分で切り出します。)

切り出しには、改造した丸のこを使います。
丸のこの改造方法は、下のリンク先をご覧ください。(別窓で開きます。)

天気が良かったので、ベランダで基板を切り出しました。
久々に丸のこを使ったら、1枚目は少し失敗してしまいました。

配線に影響があるような失敗ではありませんが、左右から交互に切ったら真ん中で段差が出来てしまいました。
仕方がないのでヤスリできれいに仕上げます。(元々、切り口に多少のバリが出るので、ヤスリ掛けは必要ですけれども)

ステンシルの作成

次に、クリームはんだを「転写」するためにステンシルを作ります。
予算的に余裕があれば、基板製作会社にプリント基板と合わせてオーダーする方が楽ですね。
金額的にも送料別で $10 程度で作ることが出来ます。

自宅のパソコンで、カッティングマシンを使ってステンシルを作る方法は、下のリンク先をご覧ください。(別窓で開きます。)

材料には沢山余っている「OHPシート」を使いました。
このシートはインクジェットプリンタで印刷できるように、印刷面に特殊加工がされています。
多分水性のノリが前面に塗布されているので、クリームはんだを上に乗せる前に良く水洗いをしてノリを落としておきます。

ノリを落とすと表面の曇りが取れて、フィルムに光沢が出てきます。
この光沢がある状態の方が、カッティングマシンで切り抜きが不十分で穴に切り残しが残っている時に見分けがしやすいです。
また、クリームはんだを塗布する時に伸びやすくなるので、同じようなインクジェットプリンター用のシートを使う場合にはシートの洗浄をした方が良いでしょう。

クリームはんだの転写

クリームはんだを乗せる前に、プリント基板の表面をアルコールで洗浄して表面に残った油分などを除去しておきます。
表面に油分などの汚れが残っていると、クリームはんだが基板の端子にきれいに乗らず、後ほどの修正作業が大変になります。

基板の洗浄が終わったら、シートを基板に乗せて軽くテープで留めておきます。
平らな机の上に基板を置いて、手袋を付けてクリームはんだをステンシルの上に少量出して広げます。
私のやってみた感じでは「ぎゅっ」と強くヘラで押し付けるのではなく軽く盛るように伸ばすと、端子間隔が非常に狭い小型のセラミック発振子の端子もきれいに「転写」できました。
(この後、一部手直しをしています。)

細かな自宅リフローの手順は、下のリンク先の内容をご覧ください。(別窓で開きます。)

SMD 部品の搭載

使い慣れた先の細いピンセットを使って SMD 部品を基板に乗せていきます。
部品を乗せるときには拡大鏡が必要でしょう。

今回使用している部品は SMD 部品の中でも比較的大型の 3216(EIA規格 1206)型です。
眼が良い若い方なら裸眼でも OK ですが、私にはこのサイズでも肉眼で基板の端子の場所へ SMD 部品をきれいに並べるのは難しいですね。

実体顕微鏡を使うのは大げさですが、十分な明るさのライトと手に持たなくても自由に動かせて、好きな位置で固定できるアームの付いたレンズ的な物があると作業がはかどります。

写真は、半田作業に便利な耐熱シリコンマットを敷いた上に基板を乗せて、拡大鏡で見ているところです。

自宅リフロー

SMD 部品の搭載が終わったら、静かにヒートプレートに乗せて加熱します。
数分でクリームはんだのフラックスが溶けてうっすらと白煙が上がります。
その時によく見ていると艶消し灰色のクリームはんだが溶けてきれいな銀色に代わります。
全ての端子のクリームはんだが銀色に変わったら、ヒートプレートの電源を落として冷やします。

基板が十分に冷めたら、それぞれの SMD 部品が正常にリフローされているか確認します。

その他の部品の半田付け

異常がなければ手半田で端子、スイッチや大きい部品(電源部のコンデンサなど)を取り付けます。
最後にクリームはんだからは余分なフラックスが流れ出るので、アルコールで基板を洗浄しておきます。

動作確認

3種類の「OLEDオシロスコープ」が完成しました。
それぞれの動作を確認しましたが、ノイズもなく正常に動作しています。
まず、「ラジオペンチ」さんの V300 です。
(OLED の上あたりに黄色い線が見えますが、基板のヤスリ掛けを頑張りすぎて配線を1本切ってしまいました。)

続いて「siliconvalley4066」さんの V402
こちらもノイズもなくテスト波形をしっかりと表示しています。

この基板でノイズをなくすには、スケッチを一部書き換えます。詳しくは下のリンクをご覧ください。

最後に「siliconvalley4066」さんの「2CH オシロスコープ」です。
こちらも良い感じで完成しました。電圧レベルを 0.5 V にしてもノイズは見られません。

今回は電源スイッチと電源確認用の LED を追加しました。
基板上には高輝度 LED の使用を考えて 3.3 kΩ とシルクに記載していますが、部品箱に「売るほど」余っていた黄色の LED を消費しました。
事前に電源を 5 V にしてこの LED で点灯確認したところ、3.3 kΩでは少し暗く感じたので、こちらも数が多かった 2 kΩ位の SMD 抵抗に変更しています。

変更と言えば、OLED の電源部に取り付けているノイズ対策用の 1 uF のコンデンサは、3216 サイズで 47 uF の部品が入手できたので、こちらもシルクと違う部品を取り付けています。
(ノイズに大きな違いはありません。発生していたノイズの周波数が低めだったので自己満足です。)

OLEDオシロスコープに必要な部品

それぞれの「OLEDオシロスコープ」を作るのに必要な部品は、その性能の割にはとても少ないです。
もしかしたら、この記事を読んで同じように作りたいと思う方もいるかもしれないので、必要な部品リストをまとめておきます。

「ラジオペンチ」さんの V300

オリジナルの V300 を作るのに使った部品は次のとおりです。
一部の部品が国内であまり見ないものを使っています。それは、基板を小型化するのと AliExpress では国内でよく見る青いセラロックが手に入らなかったので別の小型のセラロックを使っています。

また、スイッチはなるべく基板上に実装したかったので、国内では少し特殊な(aitendo さんの通販では見かけました。)ものを AliExpress から調達しました。

U1: ATmega328P
U2:昇圧基板(型番不明)

OLED:SSD1306(電源端子を入れ替え済み)
Y1:16 MHz 3 端子セラミック発振子(型番不明)

S1: SKHHLPA010(Hold SW)

S2:3ポジション サムスイッチ(型番不明)

S3: SK22D07G4NSPA(AC/DC切替SW)

S4: SK12D07VG4NSPA(電源SW)

D1,D2,D3,D4: 1N4148 SOD-323

R1: 510k
R2: 120k
R3: 12k
R4: 82k
R5: 820k
R6,R7,R20: 10k
R8: 100
R9: 3.3k(電源 LED 用です。実際には取り付ける LED に合わせて、今回は 2kΩ 程度の抵抗にしました。)

C1,C2: 47uF(C2 の基板のシルクは 1uF となっていますが、3216 の 47uF が入手できたので交換)
C3,C8,C9: 1uF
C4: 7pF(オリジナルの回路図にはありません。「siliconvalley4066」さんの V402 に合わせました。)
C5,C6,C7,C10,C11: 0.1uF

ダイオード、抵抗とコンデンサは 3216 サイズの SMD

その他
ATmega328P用 IC ソケット(22 Pin)
1列のピンヘッダなど

「siliconvalley4066」さんの V402

V402 もセラロックとスイッチに少し特殊な部品を使っています。

U1: ATmega328P
U2:昇圧基板(型番不明)
OLED:SSD1306(電源端子を入れ替え済み)
Y1:16 MHz 3 端子セラミック発振子(型番不明)
S1: SKHHLPA010(Hold SW)
S2:3ポジション サムスイッチ(型番不明)
S3: SK22D07G4NSPA(AC/DC切替SW)
S4: SK12D07VG4NSPA(電源SW)

R1: 510k
R2: 120k
R3: 12k
R4: 82k
R5: 820k
R6,R7,R20: 10k
R8: 3.3k(電源 LED 用です。実際には取り付ける LED に合わせて、今回は 2kΩ 程度の抵抗にしました。)

C1,C2: 47uF(C2 の基板のシルクは 1uF となっていますが、3216 の 47uF が入手できたので交換)
C3,C8,C9: 1uF
C4: 7pF
C5,C6,C7,C10: 0.1uF
抵抗とコンデンサは 3216 サイズの SMD

その他
ATmega328P用 IC ソケット(22 Pin)
1列のピンヘッダなど

なお、「siliconvalley4066」さんの V402 の回路図にはない、オリジナルのペン型オシロに付いている案電池の電圧計測用の部品が追加されています。

「siliconvalley4066」さんの 2CHオシロスコープ

「2CHオシロスコープ」と言っても1チャンネル分の回路しか実装されていませんが、その分もあって他の「OLEDオシロスコープ」よりさらに部品数が少ないです。
この部品数でこれだけの機能を搭載しているのは凄いですね。

今回制作した基板では5ポジションの特殊なスイッチを使っていますが、このオシロスコープの全ての機能を使うには、2つのスイッチを同時押ししなければならないので、別個のタクトスイッチを使った方が良いでしょう。

U1: ATmega328P
U2:昇圧基板(型番不明)
OLED:SSD1306(電源端子を入れ替え済み)
Y1:16 MHz 3 端子セラミック発振子(型番不明)
S1: SKHHLPA010(Hold SW)
S2:5ポジション スイッチ(型番不明)
S3: SK22D07G4NSPA(AC/DC切替SW)
S4: SK12D07VG4NSPA(電源SW)

R1,R2,R3: 2M
R4,R5,R7,R20: 10k
R6: 3.3k(電源 LED 用です。実際には取り付ける LED に合わせて、今回は 2kΩ 程度の抵抗にしました。)
R8: 470
R9: 4.7k

C1,C2: 47uF(C2 の基板のシルクは 1uF となっていますが、3216 の 47uF が入手できたので交換)
C3,C7,C8,C9: 1uF
C4,C6,C10,C11: 0.1uF
C5: 0.01uF
抵抗とコンデンサは 3216 サイズの SMD

その他
ATmega328P用 IC ソケット(22 Pin)
1列のピンヘッダなど

製作を振り返って

今回の「OLEDオシロスコープの基板を作る」企画は、これで完成です。

初号機は、いつもの電子工作と同じようにユニバーサル基板で組み立てて、3D プリンタで作ったケースに入れましたがノイズが発生しました。

そのノイズを押さえるために KiCad の使い方をマスターする目的もあって、オリジナルの基板を作るところから初めて、基板製作メーカの方と知り合いになりました。
この基板は、自分では「カッコいい!」と思ったのですが、無信号で入力端子をグランドに落としてもノイズが消えません。

仕方がないので、ノイズ対策を勉強してデジタル系とアナログ系の電源・グランドをしっかりと分けた2番目の基板をオーダーしました。
この基板で気になっていたノイズは、ほぼ実用的なレベルまで抑えることが出来ました。
しかし、確認不足で回路的に2か所の不具合があり、配線を削ってジャンパを飛ばして修正しました。

今回紹介した3回目の基板は、今までの不具合をすべて修正し、取り付けていなかった電源スイッチと電源確認用の LED を追加したものです。
この基板3種類も自宅リフローをして組み立て、機能確認を行いましたが正常に動作しているようです。
(機能豊富な「2CH オシロスコープ」の全ての機能までは、現在の所確認できていません。)

基板のお裾分け

「ラジオペンチ」さんと「siliconvalley4066」さんが、素晴らしい機能の「OLEDオシロスコープ」を設計されて全ての資料を公開してくれているので、このオシロスコープを作ってみたい方も(沢山いる日本人の中には)いらっしゃるかもしれません。

一応、今回のオーダーでは20枚の基板を注文しました。
その内、1枚はこの記事を書くために製作してみました。1枚は試験用、もう1枚を予備に取っておくとして「17枚」の基板が余っています。

事前に製作者の方々には、基板配布の許可を頂いています。

ちょうど、このブログを昨年1月ごろに初めて100記事を超えたので、記念に基板を「無料」でお裾分けします。
こんな記事を見ている人は少ないでしょうし、さらに、同じような製作をしたい人は少ないと思いますが、もし、そんな奇特な方がいらっしゃったら、コメント欄に記入して頂ければ基板をお送りします。(「郵送代」のみご負担ください。)

実際に組み立てるためには、以下の準備が必要です。
・「ATmega328P」単体にブートローダを書き込んで「OLEDオシロスコープ」のスケッチを書き込む。
・市販されている「1.3 インチOLED」の電源端子の改造
・サム・スイッチなどの特殊スイッチ、小型の 16 MHz セラロックなどの国内では入手が難しい部品の調達
・サイズが「1608」と大きめの SMD の抵抗とコンデンサ、ダイオード(国内の通販で手に入ります。)

「お裾分け」の制限事項

「お裾分け」には、以下の制限をさせて頂きます。

・「ラジオペンチ」さん、「siliconvalley4066」さんに質問しないでください。
・素人が設計した基板です。本職の方が見ると拙い部分が沢山あると思いますが、現時点ではこれが完成品です。
・自宅のベランダで手作業で裁断しています。お送りする前にヤスリ掛けはしますが、受け取った後にケガに注意してください。
・お1人様 1セット(3枚組)まで。
・サポート、返品は応じられません。
・普通郵便で簡易包装で送るので保証はありません。普通郵便なので日本国内限定です。
・なくなり次第(応募などないと思いますが。)終了します。
・普通郵便の切手代の110円をご負担ください1104円切手を送付していただき、到着次第、その住所へ基板をお送りします。

なお、ご希望の方には110円切手を1枚追加して頂ければ、以下の特殊部品4種類を1セットで同梱いたします。
・サム・スイッチ
・小型の 16 MHz セラミック発振子
・3216 サイズの SMD の 47uF
・今回の基板にちょうど合うサイズのスイッチ3種

上記の条件でも構わないという方は、コメント欄に入力ください。(連絡が付くメールアドレスを忘れずに記載してください。)
記入して頂いたコメントは公開せずに、直接メールで必要事項を連絡させて頂きます。

ー参考資料ー
定形郵便物(長さ:23.5 cm、幅:12 cm、厚さ:1 cm以内)
重量:50g以内、料金:110円
(重量:25g以内、料金:110円)

基板1枚:8 g、3枚で 25 g、封筒・切手・簡易梱包材など 15 g 、合計で 40 g

コメント

  1. nobcha より:

    こんにちは。基板と部品の配布をありがとうございました。V402を組み立てて、名刺サイズの箱に入れました。ちょうどオーディオ帯域の電圧計が必要(受信機の10dBNQS感度測定)となり、さっそく活用しております。
    https://nobcha23.hatenablog.com/entry/2024/09/13/204139
    パオさん、ラジオペンチさん、厚木市シリコンバレー4066さんの情報提供、部品提供に感謝します。

    • パオさん より:

      nobcha さん、コメントありがとうございます。
      OLED オシロスコープの完成おめでとうございます。

      リチウムイオン充電池を内蔵した製作例は始めてみました。
      高い周波数は見られませんが、AC/DC の電圧計機能も内蔵しているので、オーディオ帯域で使うには十分ですね。
      素人が作った基板がお役に立てて良かったです。